2024.11.13 初冬のアルペンルート通過 4

アルペンルートを通過する観光客のほとんどは室堂で散策をするのだろうが、自分は「バスに乗るのが目的」なのですぐに次のバスの列に並ぶ。室堂の標高は2,450m、アルペンルート上では最高所に位置するターミナルだが、標高2716mバス停を何度か訪問*1している自分にとってはそれほど心動く場所ではない。まあ、室堂自体何度か来たことがある*2ので、そういった経験のせいもあろう。

次に乗るのはトロリーバス、この乗り物は法令上だと鉄道にあたるらしいが、バスを名乗る以上はバスとして取り扱いたい。そんなトロリーバス、運行は今期をもって終了となるため、鉄道好きと思われる剛の者たちが太くて長いレンズを携えて列をなしていた。お名残り乗車というものだろう。来年はバッテリーで走る電動バスに置き換わるため、架線給電の(法令上は)鉄道であるトロリーバスの廃止、ということでの利用と思われるが、バス好きから見れば車両の置き換えくらいの感覚でしかなく、名残惜しさはあまりない。

2024.11.13[Wed]
室堂10:15→大観峰10:25
立山黒部貫光 立山トンネルトロリーバス、¥2,200

室堂にて
立山トンネルトロリーバス 大観峰

立山駅~美女平~室堂の区間は続行便となる臨時運行されたものへの乗車だったが、ようやくここで先行した定期便の利用者と列を同じくする。一方、ここまで同じ車両で移動してきた一般観光客と思われる人が列から外れ、チケット販売窓口の人に「扇沢まで行く価値はあるのか」と詰問に近い口調で確認し始めたりするスリリングな展開もあった。どうもこの人は黒部ダムまでを往復するつもりでいたのだが、立山駅や室堂からの観光客が扇沢までのチケットばかり買うのでどうも気になったらしい。「価値はあるの?」「価値は何?」「価値価値価値!」と何度も聞くので一瞬自分も不安になってくるが、バスに乗るのが価値じゃん、とよく分からない理屈で納得できた。バス好きで良かったと思う。

10分前に改札が始まり、5分前に乗車となる。バスの写真を撮る余裕はなさそうな雰囲気なのでそのままバスに乗り込むと運転士直後の席が空いていたのでそこに座った。運転士は出発直前に乗り込んできて、鉄道の運転士のように信号を指差確認したのちに出発となる。鉄道っぽいとはいえハンドルで操作する乗り物なので、エンジン音がしないバスという雰囲気だ。架線の下しか走れないバスだが、基本的にはトンネル内を行き来するだけの乗り物なので、電気を喪失することはないだろう。そういう意味では線路上を走る鉄道のようでもある。なんか不思議な乗り物だ。

トロリーバス車内より
走行中のトロリーバス前面展望

トロリーバス車内より
トロリーバスのすれ違いポイント

このトロリーバスでの個人的な一番の興味は、四半世紀も前に休止されたという途中バス停・旧雷殿駅の跡*3トロリーバス廃止に合わせて廃駅の施設も撤去されてしまうのではないかという心配があったからだ。走行中の車内からの撮影なので良い写真は撮れなかったが、雷殿駅の姿は何とか写真に収めることができた。トンネルの出口や横断歩道など当時の面影を確認できただけでも来た甲斐があったと思う。

狭いバス乗降場と横断歩道が確認できる
雷殿駅跡*4

雷殿駅跡を過ぎると左方向に進んですぐに大観峰に到着する。たぶん一生のうちで最後になるだろうトロリーバスの乗車はあっという間に終了した。

大観峰にて
大観峰到着直後のトロリーバス


*1:標高差2,720m 50」とか「標高差2,721m 84」とか。

*2:ブログ内では「富山県内のバスに乗る25」で宇奈月温泉から訪れている。

*3:wikipedia:雷殿駅によると、1998年に休止・2013年に廃止とのこと。

*4:右正面に見える光が坑口。