2019.09.25-28 南から北へ145

右から順に北沢峠行、甲府駅行、奈良田行のバス停
広河原バス停

切符も買ったことなので、バス停前にできていた荷物の列に並ぶ。バス停を見たときちょっと違和感があったが、その理由にはしばらく気づけない。数分後、その違和感が「バス停にバス停の名前がない」ということだと分かる。行先しか表示しないこのタイプなら同一路線なら2種類作れば済む*1ので効率は良さそうだが、バス停に自身の名前がないのはなんとなく不安だ。

2019.09.26[Thu]
広河原16:40→甲府駅18:30
山梨交通、¥1,950+¥200*2、43.8km

広河原にて
山梨交通 甲府駅

バスは16時20分くらいにやってきた。客を乗せてきたことから、奈良田からのバスのようだ*3。ちょっと早いがすぐに乗車できそうだ、なんて思っていると、バスから年配のバスガイド風の女性が降りてきて、乗客を整列させ、乗る際の段取りを毅然と説明しだす。言葉は少々きつめだが、言っていることはごもっともかつ的確なので、いかつい山男も素直に従うところが面白い。

乗降の効率をよくするためか、前方に夜叉神峠や芦安の駐車場で降りる人を集め、後方には甲府まで乗り通す人が入るように指示されて、車内へ。ツーマンだし切符も購入済なので、整理券は発券されない。ICカードでの乗車もできないので、利用者はおばちゃんの言うとおりにただ乗り込むだけだ。並んでいた人がすべて乗車し、乗客が落ち着いてきたころを見計らって、先に降りる「駐車場組」の切符を回収する。この辺の段取りも完璧だ。

出発間際になって、北沢峠からのバスでもおなじみの青年山岳ガイドが乗車してきて、時間通りに発車する。乗客は27人、他に広河原で切符を売っていた人と車掌の仕切り屋おばちゃんも乗り込んで甲府を目指す。道のりは約2時間、けっこうある。

出発後、車掌から説明が入る。「バスは時間通りにはいきませんので、そのつもりで」なんて言われてしまうと、どのつもりか分からなくてもそのつもりになってしまう、そんな説得力がこのおばちゃんにはある。しばらくは1本前のバスと似たような雰囲気の林道をゆっくり進む。道はすぐに川から離れ、奈良田へ行く道をはるか下に眺める形となりながら、眺望の利く道を進む。眺望のことを考えることなく山側に座ってしまったのは失敗だったが、どうせすぐ暗くなるわけだし、とあまり気にしないようにする。

こちらのバスもにぎやかだ。あの青年ガイドの語りは尽きず、また別の場所には「登った山羅列マン」なんても新たに発生している。「カイコマ、キソコマ、アイコマ、アキコマ」、後ろ2つは知らなかったのだが、会話の流れから会津駒ヶ岳秋田駒ヶ岳らしい。夜叉神峠登山口までにはポツリポツリとバス停はあるが、どれもこんなところで降りてどうしろと? みたいなところにある。

夜叉神峠をトンネルで抜けると、夜叉神峠登山口。ここでは4人が降りる。いよいよ闇が深くなるが、まだかろうじて外は見える。ここまでは同じような高度を横這いするようにしてきた林道も、以降はつづら折れで一気に高度を下げていって、芦安駐車場へ。ここで2人が新たに乗車してきたものの14人が降車したおかげで、車内はゆったりしてくる。切符売りのおじちゃんもここ以降は座席に着いたが、車掌のおばちゃんは車掌としての矜持からか終点までずっと立っていた。当たり前なのかもしれないが、揺れる車内で2時間以上*4立ちっぱなし、たぶん自分じゃ無理だ。

甲府盆地へ出ると、視界が開けたおかげですでに夜になっていることを知る。竜王駐車場は駅近くのショッピングセンター内にあった。バスや鉄道への乗り継ぎに便利そうだったが降車客はなく、あとは甲府駅を目指すだけ。途中渋滞に巻き込まれたせいもあって、甲府駅には25分ほど遅れての到着となる。

甲府駅の駅ビル。「甲府駅」のフォントがかっこいい
夜の甲府駅

本日はここで終了。近くの宿に荷物を置いた後に駅へ戻り、翌日から大活躍する予定のPASMOに5,000円ほど積み増ししておく。あとは食事、のつもりだったが、「南から北へ」では久しぶりに賑やかなところへ来たので、ついつい飲み屋へ。1串100円の店で調子に乗って飲みすぎ、朝早くから移動した疲れもあってか、すぐに酔いが回ってフラフラになって宿へと戻った。


*1:上りと下りの2種。ただ、途中で折り返したり分岐したりする系統があれば、その数だけ増えることになるが、バス停の数を越えることはなさそうだ。

*2:利用者協力金。

*3:奈良田15:30→広河原16:15。それゆえ行先表示が「山梨交通」となっていたのだろう。

*4:甲府駅到着は予告どおり遅れ、18時53分だった。

2019.09.25-28 南から北へ144

山梨県側のバス待合所とバス停
山梨県側のバス待合所

山梨県に入ったことで、「南から北へ」で通過した都道府県は15となる*1。ずいぶん来たなあと思う気持ちと、まだまだあるなあ、という気持ちが重なるくらいの進み具合だ。

2019.09.26[Thu]
北沢峠15:30→広河原15:55
南アルプス市営バス 広河原~北沢峠線、¥1,000、10.1km

北沢峠にて
南アルプス市営バス 広河原行

ここまで乗ってきたバスも最終便だったが、これから乗るのも最終便。下界へ戻る本日最後のバスは先ほどよりも混んでいて、待っていた人だけでも14人、以降も発車直前まで乗客は増えていく。最終的には22人の乗客と北沢峠で切符を売っていた人が乗車して発車。急な坂をゆっくりと下っていく*2

長野側のバスとは違い、こちらのバスの利用者には若い人が多く、また乗客の4分の1くらいは女性だ。登山者にとっては帰りのバスということもあって、乗客のテンションは高く、バスの中は賑やかだ*3。「どちらに登られたのですか?」なんて振られたら面倒だなあなんて考えつつ、近くの席で熱弁をふるう青年山岳ガイドの薀蓄話を生暖かい気持ちで聞く。どういう山岳経験の積み方をすれば成長できるのか(というテーマのはずが、いつの間にか自分の経歴しか話さなくなる)といった話を、さらに若い少年に向けてずっと語り続けている。口調のせいもあるが、若さからくる万能感、みたいなものが伝わってきて、若いっていいなあなんて思いつつも、やっぱりちょっと生暖かく見守ってしまう。

山梨側の方が未舗装区間は長く、しばらく砂利の坂道が続いたが、舗装路に出てしばらく進むと、唯一の途中バス停である野呂川出合に到着、1人が乗車する。北沢峠出発時、運転士が「途中から乗る人がいるかもしれないので、一番前の席だけは空けておいて」とお願いしていたにもかかわらず、件の青年ガイドが「普通は乗らないから、座っちゃっていいよ」なんで連れに言って前方の席を仲間で固めてしまっていたものだから、座席シャッフルが発生してしばらくごたつく。まあ、バスが少々遅れたところで次の乗り継ぎはけっこう時間があるので、あまり気にならないが。

長野県側の林道バスは運転士の肉声による案内だったが、こちらは録音された案内が再生される。ただ、登山客は来るときに聞いているせいか誰も耳を傾けていないため、騒々しくてあまり聞こえない。野呂川出合付近では川の水面近くまで近づいていた林道も、いつのまにか崖のはるか下を流れるようになる。夕闇が迫る中、深い谷にへばりつくようにして、バスは広河原を目指して進む。

再び川面が近づいてくると、林道ゲート。長野側の頑丈なギロチン式のゲートとは異なり、こちらは他の林道でも良く見かける踏切タイプのゲートだった。ゲートを越えるとすぐに終点。バスから吐き出されるようにして乗客が降りていく。

森の中にたたずむインフォメーションセンター
野呂川広河原インフォメーションセンター

広河原では北岳からの登山者も合流してくる。また、まだマイカー規制のエリア内であり、バスでしか来れない場所だ*4。このことから、次のバスはより混むんじゃないかと考え、バスを降車後すぐに施設内の切符売り場で次のバスの切符を購入する。切符には利用者協力金がすでに含まれているので、バス利用者は必ず払わなければならないもののようだ。切符を購入する列の後ろでは、例の青年ガイドが「4時のバスないのかよ、想定外だ」なんて大騒ぎしていたが、それが走るのは夏期と土日祝日だけだ。木曜日も運行されたら、そっちの方が想定外だ、なんてつい心の中で毒づいてしまう。


*1:鹿児島、宮崎、熊本、大分、福岡、山口、広島、岡山、兵庫、大阪、奈良、三重、愛知、長野、山梨の15府県。

*2:長野側は緩やかなアプローチの北沢峠だが、山梨側は急な下り坂となっている。

*3:あと、これは仕方のないことだが、汗をかいた後の乗客が多いので、そこそこ臭いはする。

*4:この辺の詳細は、山梨県の県営林道情報のページに詳しく書かれている。

2019.09.25-28 南から北へ143

2019.09.26[Thu]
戸台口(発)~仙流荘14:20→北沢峠15:15
伊那市 南アルプス林道バス、¥1,130*1、20.9km

仙流荘にて
伊那市 南アルプス林道バス 北沢峠行

発車3分前くらいに戸台口方面からバスが上ってきた。麓からの最終便は1台だが、乗客は12人しかいないため、車内には余裕がある。時間になると発車ベルが鳴って発車。昔のバスみたいで気分が高揚する。

バス車内では運転士による熊への注意喚起や簡単な観光案内などもあった。乗客は自分以外は皆登山客、年恰好からして定年を終えた方が多いように見えた。ザックを背負っているのに足回りは運動靴にジーパンというこちらの格好に、どの方からも不思議そうな顔を向けられる。山に登るつもりはもちろんないので、ザックではなくスーツケースくらい開き直った荷物の方が良かったかもしれない。


戸台大橋

戸台大橋のたもとまでは一般車でも通行可能だが、橋の入口にはゲートが設置され、ここから先はバスと指定車以外は入れない*2。橋を渡ると一気に高度を稼ぐべく、つづら折れの道を進む。ある程度の高さになると坂は緩やかになり、はるか下を流れる戸台川に沿って北沢峠へと進む。途中のバス停は先ほどの戸台大橋と歌宿の2つだが、乗降はなし。甲斐駒ヶ岳を直近に見ながら走るバスは非常に楽しいが、右側の座席に座ってしまったため、あまり良く眺められなかったのは少し残念だった。

後方には広河原へ向かう南アルプス市営バスの姿も見える
北沢峠到着直後の南アルプス林道バス

北沢峠直前で舗装が切れ、ダートの道を進んで終点の北沢峠へ。到着前の運転士からのアナウンスで、登山者に向けた注意喚起だけでなく、広河原方面へのバスの乗り継ぎの案内もちゃんとあったのが印象的だった。その案内に従ったわけではないが、この後山に登れるような装備は何もなく、また広河原行の最終便もすぐに出発するので、自然と山梨側へ下ることになる。

北沢峠の周囲には、山小屋の他に長野・山梨側それぞれにバスの待合所があった。峠付近の山小屋には以前来たときの記憶がかろうじてあるが、バスの待合所の印象はない。最近できたものと解釈する。

山梨側より撮影した北沢峠の看板。後方の山小屋はこもれび山荘(旧長衛荘)
北沢峠

山梨側の待合所へ移動し、ここでも切符を購入する。これから乗るバスには手回り品の設定はなく、運賃だけで良いようだ。さすがに山上ということもあって券売機はなく、係員にお金を渡すとレジスターのレシートみたいなものが渡された。待合室のベンチには、仙流荘と同様に番号が振られていて、偶然にも同じ11番で待つことに。標高があり、また日差しがないせいもあって、少々肌寒い。


*1:運賃に手回り品料金(¥210)は含めていないが、別途支払っている。

*2:なお、2015年5月に Google Street View の撮影が戸台大橋から歌宿まであったようだが、軽トラにカメラを乗せて撮影したようだ。