日本一標高の低いバス停(仮)を見に行く

《2021.04.29 地理院地図を追加》

以前の記事の続き。ようやく訪問することができたので記録しておく。

ホテルサンルーラル大潟前にて
ホテルサンルーラル大潟と桜

2021年4月17日、朝の5時45分。秋田県大潟村にやってきた。前日は写真のホテル サンルーラル大潟に泊まり、これから朝一番のバスに乗る。車で7時間かけて*1秋田までやってきた理由は、タイトルにもあるように日本最低所(仮)バス停*2を見るためだ。

ホテルサンルーラル大潟前にて
ホテルサンルーラル大潟前バス停

ホテルサンルーラル大潟前バス停は日本最低所バス停(仮)ではない。せっかくこの地まで来たので、対象バス停へは敬意を表して(?)バスで訪問する。目的地はもちろん、過去の記事で書いた大潟富士バス停、ここが目下のところ日本最低所バス停(仮)だからだ。

2021.04.17[Sat]
ホテルサンルーラル大潟前06:05→大潟富士06:20八郎潟駅前(行)
南秋地域広域マイタウンバス 大潟八郎潟線、¥200、9.0km

ホテルサンルーラル大潟前にて
南秋地域広域マイタウンバス 八郎潟駅前行

バスは5時48分ごろに到着。運行会社は秋田中央トランスポート、余談だがurl (https://www.bus-taxi.jp/) がなんかすごい会社だ。バスを待つ人は自分以外にいないが、ホテルに隣接するポルダー潟の湯の営業開始*3を待つ車はポツポツやってきている。

ホテルサンルーラル大潟前にて
路線バスの新型コロナウイルス感染予防対策

車内清掃が終わったタイミングで乗車する。最前列2席は感染予防のため使用中止となり、その場所にはモップらしきものが常備されている。那須塩原で乗ったバスでもアルコール消毒するバスの運転士を見たが、バスの新型コロナ対策は運転士の負荷を増やしているような気がする。クレームなどによる気苦労も増えているだろうし、本当大変な仕事だと思う。

定刻になったのでバスが動き出す。早朝の駅へ向かうバス、だけど今日は土曜日ということで、利用者は少数だと予想していたが、村内の居住区*4付近のバス停ではすべて乗客があり*5生態系公園前出発時点での利用者は7人となっていた。乗客は制服を着た高校生がほとんど、土曜日なのにこんな朝早くから通学だなんて大変だろう。

生態系公園前を出ると、残る大潟村内のバス停は大潟富士のみ。ただ、ここまでは逐次流れていた次のバス停のアナウンスが放送されない。八郎潟町へ出る秋田県道298号へ左折してからも流れない。ドキドキしながらどうやって降車をアピールするか思い悩んでいると、運転士の肉声で「次は大潟富士です」と案内があったので、ほっとしながら降車ボタンを押す。路線開設当初はなかったバス停だからだろう*6

ここで、大潟富士バス停の開設時期について補足しておく。南秋地域広域マイタウンバスの運行開始は2019年10月1日*7だが、当初の運行ルート*8大潟富士バス停はなく、また当時の時刻表*9にも記載がない。大潟富士バス停が出てくるのは令和2年3月改正の時刻表*10からで、おそらくだがこのタイミングで大潟富士バス停が設置されたものと思われる。ただ残念ながら、インターネット上の情報からは具体的な開設時期が書かれたものを見つけることはできなかった。

さて、目的地である大潟富士に到着。無論、降車したのは自分だけだ。

大潟富士にて
八郎潟駅前へ向けて去っていくバス

大潟富士にて
大潟富士バス停周辺(中央の赤丸がバス停、右側の赤丸が三角点)


大潟富士付近のストリートビュー

やっと来れた日本最低所バス停(仮)だが、バス停は大潟村方面のみ置かれており、自分が今降りた場所にはない*11。バス停の周囲にあるのは、大潟富士とモニュメント、案内板などなど。バス停もそうだが、Google ストリートビューでは確認できないものがいくつかある。逆に、左端の看板のあたりにあった公衆電話はストリートビュー撮影以降に撤去されたようだ*12


大潟富士バス停付近の地理院地図《別ウインドウ表示》

大潟富士にて
三角点と大潟富士(バス停)

このバス停の地点を国土地理院地理院地図で確認すると、この場所の標高はマイナス3.9メートルともある。もっとも、この情報は5メートルメッシュらしく*13、当たり前だがピンポイントでこの場所の標高ではないらしい。バス停の南側には深さ1メートルほどの溝があったので、ここの高さの可能性もある。なので、精度の高い標高ということであれば、近くにある三角点の値(標高マイナス3.8メートル)を採用するのがよさそうな気がする。なお、三角点から見ると、バス停の場所の方が見た目では少し高いような気がしたが、坂道錯視*14みたいな可能性もないわけではないので、見た感覚は考慮に含めない方がよさそうだ。ということで、大潟富士バス停の標高はマイナス3.8メートルとしたい。


《2021.4.29追記 始め》

以前の記事でやったような、地理院地図の断面図があった方が分かりやすいので、バスルートの標高が分かるものを作成し、キャプチャを撮ってみた。

地理院地図で作成した標高断面図
地理院地図による南秋地域広域マイタウンバスルートの標高断面図

……確かにルート上の標高増減は分かりやすくなったものの、終点部の高さは分かりにくい*15。なので、大潟富士付近の断面図も作成してみたところ、以下のようになった。

地理院地図で作成した標高断面図
地理院地図による大潟富士付近の標高断面図

こちらの方が分かりやすいかもしれない。これで見ると、道路上の標高はマイナス4メートル弱と読み取れるが、この記事の結論として書いた「(付近の三角点の標高から)バス停の標高はマイナス3.8メートルとしたい」という点は変えないでおく。

《2021.4.29追記 終わり》


大潟富士にて
三角点と大潟富士(築山)

大潟富士にて
大潟富士山頂から見た麓のバス停

とりあえず、大潟富士にも登ってみる。北稜ルート(?)の段数は23段。当たり前だが、険しくもなんともない。登りつめると頂上には方位が埋め込まれていたが、だから何なんだという感じだ。ここでもバス停の写真を撮っておく。

大潟富士にて
大潟富士バス停

大潟富士にて
バス停裏側(バス停左奥に見える赤い玉の乗ったモニュメントは「八郎潟干拓記念水位塔」)

山から降りたあとは、もうちょっと近づいてバス停を眺める。前述したように最近できたバス停で、少なくとも2019年10月撮影のストリートビューには写っていないのにも関わらず、妙に古めかしいのは吹きっさらしな場所にあるせいだろうか。同じタイミングで廃止されたバス停のものを使いまわしている可能性もあるけど。バス停の裏側に回ると、ホテルサンルーラル大潟前バス停では見えた、緑地の「南秋地域広域マイタウンバス」の文字がかろうじて読めた。

大潟富士にて
「大潟富士と八郎潟干拓記念水位塔」案内板

最後に案内板を眺めておこう。大潟富士と水位塔の解説だが、せっかくなので左上部分を文字起こししておく。

大潟富士は日本一低い山で、1995年(平成7年)6月3日の「測量の日」に完成した築山です。ふもとから山頂までの高さは3.776m、ちょうど富士山の1/1000の高さです。また、山頂の標高は海抜0mで、隣接する八郎潟干拓記念水位塔と等しく、かつての八郎潟の湖面を表しています。

大潟村は、湖であった八郎潟干拓した湖底に誕生しました。そのため堤防以外の土地が海面よりも低くなっています。大潟富士の山頂からは、干拓地の広大な風景を楽しめるとともに、かつての八郎潟の深さを実感できます。

なお、八郎潟干拓記念水位塔の手前には三角点があり、その標高は-3.8mです。

大潟富士にて
大潟富士バス停と菜の花と桜

折り返しのバスが来るまでの40分があっという間に過ぎて、ホテルへ戻るバスが来る時刻が近づいてきたのでバス停で待つ。すぐに、菜の花と桜に彩られた道路*16をバスがやってきた。

2021.04.17[Sat]
五城目バスターミナル(発)~大潟富士07:01→ホテルサンルーラル大潟前07:21
南秋地域広域マイタウンバス 大潟五城目線、¥200、11.7km

大潟富士にて
大潟富士にて
大潟富士にて
南秋地域広域マイタウンバス ホテルサンルーラル大潟前行

写真を撮っているだけの人*17と思われないよう手を挙げてバスにアピールしたのが良かったのか、バスはちゃんと停車してくれた。朝一番の下り便ということで乗客はないだろうと思っていたが、若者が一人乗車していた。この路線、コミュニティバスにしてはけっこう利用されているのかもしれない。

南秋地域広域マイタウンバス車内から見た菜の花ロード
バスの車内から見た菜の花ロード

来た道を戻る。大潟富士近くを流れる中央幹線排水路を越えた向こう側、すなわち大潟村中心街寄りの方が樹齢のある桜の木のようで、こちらに車を停めて写真を撮る人が多い。今日はこれから雨の予報なので*18、朝早くても訪れる人が多いのだろう。

帰りのバスは秋田県立大学道の駅おおがた前を経由するので、来るときよりもルートはくねくねしている。JA大潟村で若者は降りたので、乗客は自分一人となってホテルサンルーラル大潟前へ到着した。その後は大潟村干拓博物館を見学したのちに帰宅の途についた。

ホテルサンルーラル大潟前にて
ホテルサンルーラル大潟前到着直後の南秋地域広域マイタウンバス

見に行ってしまったせいで、より想いが深まったのかもしれないが、「地上にある」*19という限定つきなら、もうここが日本最低所バス停で良いのではないかと思う。となると、「南から北へ*20が終わったあとに「最低所から最高所へ」なんてバスの乗り継ぎもやってみたくなってきた。元ネタとなったdpzの記事からここまで話が膨らむとは思わなかった。dpzと記事を書いた谷頭和希氏には感謝しかない。



*1:「バスに乗るのが目的」というタイトルなので詳細は割愛するが、距離は570キロメートルほど、可能な限り高速道路を走行したものの、7時間越えの移動となった。ルートの詳細はGoogle マイマップを参照のこと。

*2:日本国内のバス停のうち、もっとも標高の低い場所にあるバス停のこと。「(仮)」の理由も含め、詳細は前述の前回記事を参照。

*3:なお、この施設の営業開始は朝6時。他ではあまり見かけないくらいの早朝営業だ。

*4:大潟村干拓によって生まれたため、人の住む場所と営農する場所が明確に分かれている。ちなみに居住地域は相対的に標高が高い場所となっている。

*5:中学校グラウンド前西二丁目JA大潟村生態系公園前の4つ。なお、早朝のこのバスのみ「村内直行便」とあり、道の駅おおがた前秋田県立大学は経由しない。

*6:なお、降車時に箱ダイヤをチラ見したところ、大潟富士のところに「マイク」と書かれていた。声によるアナウンスが必要という意味だろう。

*7:広報おおがた 令和元年9月号[pdf]にて確認。

*8:大潟村のサイトにあるマイタウンバス運行経路図[pdf]。なお、現時点でもこのルート図が掲示されている。

*9:南秋地域広域マイタウンバス時刻表(令和元年10月作成)[pdf]。リンク先は五城目町のサイトとなる。

*10:南秋地域広域マイタウンバス時刻表(令和2年3月14日改正)[pdf]。こちらも五城目町のサイトより。

*11:バス停にもそんな警告掲示されていた。

*12:もっとも、拡大してみると当時から電話機はなかった模様。

*13:国土地理院標高タイルの作成方法と地理院地図で表示される標高値について」より。上記ポイントはDEM5Aと書かれているので、測量方法は航空レーザ測量に当たるようだ。ちなみに標高精度は0.3メートル以内とある。

*14:坂道錯視が詳しい。このサイトで紹介されている「屋島のおばけ坂」は自分も車で走ったことがある。

*15:ただ、「グラフを保存~csv形式」で確認したところ、末端部の標高はマイナス3.97メートルであった。

*16:大潟村では「菜の花ロード」と称しているが、Google マップでは「桜ロード」だったり「菜の花ロード」だったり「桜並木と菜の花ロード」だったりといろいろだ。

*17:菜の花と桜を写真に収めるために、多くの人がそうしていた。

*18:実際、10時過ぎには本降りとなった。

*19:地下のバス停を含めないという意味。wikipediaでは同様の定義で鉄道駅の日本一を分けて表現しており、青函トンネルの竜飛体験坑道駅( 日本一低所に位置する鉄道駅、海面下140メートル)と弥富駅地上で日本一低所に位置する駅、標高マイナス0.93メートル)の2つを日本一の低所駅としている(wikipedia:鉄道に関する日本一の一覧)。

*20:なお、ゴールデンウィークに「南から北へ」の続きを進めようかとも思っていたが、細かい予定がいくつか入ったので断念。新型コロナウイルスの猛威がなかなか減退しないのも大きな理由ではあるが、北海道へ行くのは先延ばしにして、GWは近場のバスに乗ってくるつもりでいる。

2021.04.11の移動まとめ

root

  • 富山14:06→魚津14:29/あいの風とやま鉄道、¥370
  • 魚津駅14:45→黒部宇奈月温泉駅15:10/魚津市 おもてなし魚津直行便(魚11便)、¥1,000、10.2km
  • 黒部宇奈月温泉駅15:54→泊駅16:11/朝日町 あさひまちエクスプレス(26便)、¥1,000、13.7km
  • 泊16:20→富山17:05/あいの風とやま鉄道、¥970

link


2021.04.11 黒部宇奈月温泉駅を発着する乗合タクシー2

黒部宇奈月温泉駅にて
黒部宇奈月温泉駅改札口

金沢行のはくたかが到着したタイミングで駅舎を出て、ロータリーへと向かう。予想通り、さきほど確認したジャンボタクシーが同じ場所でまだ待機していた。

2021.04.11[Sun]
黒部宇奈月温泉駅15:54→泊駅16:11
朝日町 あさひまちエクスプレス(26便)、¥1,000、13.7km

黒部宇奈月温泉駅にて
朝日町 あさひまちエクスプレス 泊駅行

予約した氏名を名乗って乗り込む。車はトヨタハイエース、座席は2-2-3-3の10人乗りだ。運行は黒東自動車、遠目ではコミュニティバスにでも使われてそうなワゴン車のように見えたが、ちゃんとタクシーメーターがついていて、通常はジャンボタクシーとして活躍している車両のようだ。運転士のそばに置いてあった運行日誌がたまたま目に入り、そこには黒部宇奈月温泉駅行の25便のことが書いてあり、その折り返し運用だったのでずいぶん前から駅で待機していたようだ。前回同様利用者は自分だけなので、乗り込むとすぐに出発となる。6分ほどの早発、メーターは魚津市と同様に「貸切」表示での運行となる。

下道で行ってもさほど変わらないとは思うが、乗合タクシーは黒部インターより北陸自動車道へと入る。さすがエクスプレスを名乗るだけはある。魚津市乗合タクシーは19往復だったが、こちらは1日22往復とわずかながら上回っている。停留所は、越中宮崎駅、五叉路、善念寺、なないろKAN、泊駅、朝日町役場、朝日ICの7か所と魚津市と同数だが、春のお花見期間中は、あさひ舟川「春の四重奏」エリアで乗降できますとあり*1、期間限定ながら一歩リード。また、予約受付についても、受付開始は魚津市の方が早いものの、受付締切は1時間前までと朝日町の方が分がある*2*3。もしかしたら魚津市の存在を意識して、常にその上をいこうとしているんじゃないか、なんてひねくれた見方をついしてしまう。

なお、ちなみにあさひまちエクスプレスの時刻表[pdf]を見ると、越中宮崎駅となないろKANの時刻が同時刻で書かれているが、この2地点はけっこう距離が離れている。同便でこの2か所を含む利用が申し込まれることはまずないだろうが、もしそうなったら2台体制で運行されるのだろうか。それともなないろKAN側の利用者が待たされるのだろうか*4。どんな取り扱いになるのか気になるところだ。

乗合タクシーは朝日インターで高速を降りると、どこにも寄り道せずに泊駅へと向かう。道路周辺の田んぼはすでに水が引かれていて、まだ肌寒いのに景色は5月のよそおいだ。泊駅には16時ちょうどに到着、後払いで運賃を払って降車する。

泊駅にて
桜並木からのシャトルバス

泊駅前には無料のシャトルバスの臨時発着所がこしらえられていた。先ほど触れた「春の四重奏」訪問用らしい。桜はすでに峠を越えていたが、到着したバス*5から5人ほどが降りてきたので、そこそこ訪れる人はいたようだ。事前に把握していればバスに乗るだけでもしたかったが、運行時間は9時から16時までらしく、到着したバスを眺めるだけとなる。残念。

あいの風とやま鉄道 泊駅
あいの風とやま鉄道 泊駅

泊からはあいの風とやま鉄道で富山へ戻る。糸魚川方面からのえちごトキめき鉄道が先に到着して富山行に接続するが、乗り継いだ利用者は10人ほどで、泊からの利用者の方が多かった。まあ、そんなものだろう。

今回、2路線の乗合タクシーに乗ってみた感じだが、一応時刻も指定されているし、おもてなし魚津直行便に至ってはNAVITIMEにも記載されているくらいなので、バスに含めても良いのでは、なんて受け止めた。基本的には要予約でなければ、今後もあまり気にせず利用すると思うし、予約も今回利用した路線のように、出発直前までokなら十分ありだと思う。


*1:朝日町観光協会あさひ暮らし旅」にある「朝日町 春の四重奏」より。

*2:魚津市は乗車の1月前から2時間前、朝日町は1週間前から1時間前が予約可能な期間となる。

*3:ただし朝日町の場合、朝の2往復に限って前日までの予約が必要。

*4:なないろKANの方が黒部宇奈月温泉駅に近い。

*5:車両は入善観光バスのものだった。