「路線バスで日本縦断」系コンテンツのまとめ

南から北へ」が終了したことで、最近は路線バスで日本縦断する人のブログとか動画をよく見るようになった。これまでは経路のヒントになる情報にはなるべく近づかないようにしていたので、その反動もあると思う。すでにいくつか拝見しているので、ここではそれらをまとめて紹介したい。

北海道松前町原口にて
原口漁港前バス停と国道228号見晴橋*1

本土縦断 路線バスの旅

最初に挙げたのはこのブログの開設当初よりリンクしていたサイト。自分と同じ南から北のルートなのでリンクはしていたものの、実際のルートはこれまでほとんど見ないようにしていた。実施時期が20年近く前ということもあって、結果的に自分のルートと重複する部分はあまりなかったが、読んでみると当時はこんなルートがあったんだと感心することしきりだ。徒歩連絡はせずにほとんどの区間を路線バスで移動できている点は本当に羨ましい。日数や利用バス本数が多めなのは、四国へ渡ったり房総半島を一周したりしているためで、わらしべ長者町氏も最短経路や最短時間を目指すのではなくと書いていて、この辺の気持ちはなんとなく分かる。

ちなみに、このサイトの冒頭でもう10年以上も前に、TV番組でこのようなバス旅の企画がありました。…(中略)…数回に渡って放送され、次の放送を楽しみにしていたおぼえもあるのですが、何の番組だったかはいまだに思い出せません。とあるが、おそらくこれは日本テレビ系「追跡」で放映された「史上初!日本縦断3500キロ 路線バスの旅」じゃないかと思う。テレビ番組制作会社である「えふぶんの壱」によると放送期日は1994年3月21日から25日までの全5回で*2、各回のサブタイトルがわらしべ長者町氏の書く内容と一致している。自分はこの番組を見たという記憶はないが、「路線バスで日本縦断」しているサイトを探していたらたまたま目に入ったのでここに記しておきたい。

路線バス乗り継ぎのたび

前述のわらしべ長者町氏とほぼ同時期、2000年代前半の記録で、こちらは北から南を目指している。東京→下関の路線バス乗り継ぎをやってみるつもりが、宗谷岬から佐多岬までつながりそうだということに気づいて日本縦断に切り替えたという経緯のため、東京駅→京都駅*3、京都駅→佐多岬*4、そして宗谷岬→東京駅*5の順で繋ぎ、変則的ではあるが南北縦断を達成している。(細かいバス停間歩きはあるものの)徒歩区間は宮城・福島県境と山口・福岡県境のみで羨ましい限りだ。ただ古いサイトのせいか、最近のブラウザでは文字が重なる部分があって読み取りにくいのが残念なところ*6。また、この方はその後、路線バスで東西横断も実践して記録を残している*7。路線バスで日本国内縦横無尽、いつかはやってみたい話だ。

ちなみに、これを書いているときに気づいたのだが、このキャナル氏と次のmusashi氏のサイトドメインの一部が一致している。サイトの場所もfc2で一緒だし、もしかしたら同一人物なのかもしれない*8

ローカル路線バス乗り継ぎのたび

前二者から時代は下って数年前の記録。徒歩区間の距離から以前このブログののコメント欄に書き込まれていた方のサイトではないかと思っている。この方のこだわりは徒歩連絡は限界まで減らすことで、実際に歩いた距離はわずか4.4km*10、2010年代でこの徒歩距離は称賛に値する乗り継ぎだと思う。

ローカルバスでどこまでも~

これまで挙げたのはガチな感じの(バス旅ではなく)バス行だったが、これはちょっとぬるめのバス旅(路バ旅)の記録。「ぬるめ」というのは、高速バスを利用することも多く、またバスに乗り損ねたために鉄道を利用した移動があったためそう評したが、あくまでも移動は原則路線バスで日本一周*13をこなしている。旅先では観光もそこそこ行うため、バス移動のない停滞日もけっこうあったりする路バ旅、ジャンルとしてはあまり見かけないタイプの旅行の記録となっている。

なお、全行程は繋がっておらず、①北久里浜~福山、②別府~沖縄~福山~岐阜、③岐阜~函館~北久里浜、とバス移動という観点からは3ルートに分かれているものの、旅行としてみるとこれらは繋がっていて*14、半年以上の長期の旅行が続けられる体力が羨ましい。十和田湖から北海道を経由して白河に至るルートが未記載となっているのはちょっと残念だが、いつか当時を思い出して書いてくれたらと思う。

路線バスだけで日本縦断の旅!

ここまではテキストサイトだが、こちらは動画での記録。また、このコンテンツのみネット等でのルート調査不可のチャレンジとなっている。方向は逆だが自分の経路と重複している部分は多く、動画から自分が北上した当時を思い出すことができて楽しめた。鉄道系YouTuberということもあってか一部区間で鉄道を利用してはいるものの、半年ほどで全行程を終えているのは立派だ。なお、西園寺氏と行動をほぼ共にしたZAKI氏は、1日のみ西園寺氏に同行していない日(21日目)があるものの、その日以外は一緒に行動しているので、ここでは南北縦断実践者に含めている。

路線バスで日本縦断!乗り継ぎルート決定版

こちらは書籍より。2023年6月に出版された『路線バスで日本縦断!乗り継ぎルート決定版』は、路線バスの乗り継ぎを鉄道路線に見立てて計88路線を設定し、そのルートを紹介する内容となっている。本稿では「北海道乗りバス本線」*18・「東北乗りバス本線」*19・「東海道乗りバス本線」*20・「山陽乗りバス本線」*21・「九州乗りバス本線」*22の5路線を合算したものを日本縦断として取り扱っている。

なお実行時期は書かれていないが、書籍内では机上プランとそうでないものとで分かるように記載されており、かつ日本縦断となる経路には机上プランがなかったことから、少なくとも1度は著者が利用したことのあるルートであると想像する*23。気になる点と言えば、この本に興味を持つ人がどれくらいいるかというところ。自分は関心のある分野なので発売日当日に入手したが、そんな人はあまりいないような気もする。どれくらいの需要があるのかは興味のあるところだ*24

路線バスで日本縦断

ブログでは途中までだが、今後も続きを進めてくれることを願って記載する。この方の特徴は「バスよりも徒歩の方が早そうなら徒歩を優先」する点。それもあってか、鹿児島~新城間をわずか9日間で移動している。参考までに、佐多岬スタートの自分はどんぐりの湯までで16日、逆方向の西園寺氏は新城~枕崎間に11日を要しており、これらと比較しても非常に少ない日数で移動できていることが分かる。ただ、残念なことに翌10日目にリタイヤ。なんでも、バスの時間が合わないからと言って徒歩ばかりだとバス旅とはいえないんじゃないか、とのこと*28。確かにそうかもしれないけど、最速チャレンジといった切り口は他で見たことがなかったので、やめてしまったのは至極残念ではある。あくまで中断という体でいつか再開していただけたらと思っている。

路線バスで本州縦断 旅の記録

日本縦断ではないが、本州最北端→最南端バス停の移動をほぼ通しでやった方の記録。19日連続した旅なんて時間的にも肉体的にも学生時代にしかできないだろう。本当に良い経験をされたなと思うし、羨ましくもある。ルート的には仙台まで南下した後に日本海側へ回るあたりがダイナミックで面白かった。向きは異なるが自分が乗車したコースと重複する箇所もあって*29、当時の情景を思い浮かべたりもした。

南から北へ

最後に自分のサイトにも触れておく。到達時の記事「南から北へ259 到着」でも書いているが、他の方と比べると歩きすぎだし年数もかけすぎで、他の方のコンテンツと並列するのは少々気が引ける。また(travelman201氏ほどではないが)歩きもあまり苦ではないので、ルートの精査が甘いまま徒歩を選択していることも多く、この辺が他の方々よりも劣っている点だなあと感じている。ただ、路線バスで日本縦断したという点だけはなんとか並んでいるんじゃないかなということで、末席に名を連ねさせてもらった。

レギュレーション比較

これらの挑戦で興味深いのは、各々が設定するルールについて。個人的な取り組みなのでルールが違うのは当たり前なんだけど、どこに重点を置いているかが垣間見えるので、比較してみると面白い。わらしべ長者町氏は路線バスが繋がらなければ高速バスでもok*32で徒歩よりもバス移動を優先しているのに対し、musashi氏の高速バス縛りは(自分を含めた)5人の中では一番厳しく*33、高速道路を経由しない路線バスだけで徒歩距離を極限まで減らそうとするこだわりが感じられた。これに対してtravelman201氏は移動速度を意識して距離を稼ぐとどうなるかという視点で興味深く、移動速度を優先するとバスよりも徒歩が増えるという、ある意味パラドキシカルな点に気づかされる。西園寺氏は動画ということもあってかゲーム性を高めたルールで、日々積み立てたお金(緊急時用財布)の範囲内なら他の交通手段もありで*34、事前調査なしでどこまで進めるかというバラエティ番組的な要素が強く出ている。これらのコンテンツと比較すると、自分のルール*35の「ぬるさ」が際立ってしまい、ちょっと恥ずかしくもある。

また、スタート・ゴール地点の設定も人それぞれだ。鉄道への関心が高いと稚内~枕崎といった設定になるし、バスに深い興味を持っていると宗谷岬佐多岬となるように思う。個人的には「最北端バス停で降りる」という点は譲れなかったので*36、最南端/最北端バス停へのこだわりが強かったように思う。

逆に共通点を探していくと、自分がそういう視点でコンテンツを探しているせいもあって「高速道路を走るバスには乗らない」という点が(当たり前だが)見出される*37。やはり高速バスをありにしてしまうと、いろいろと面白味が薄れてしまう気がするのよねえ。ただ、短区間でも高速バスを使えばつながるのに、といった区間もあるので悩ましいところではある*38

今のところすべてに目を通したのは上記だけだが、他にもいくつかあるのを把握している。今後も内容を確認次第、ここに追記していこうと思っている。なお、現時点で把握済のコンテンツは以下のとおり。


*1:記事と写真はあまり関係ない。当地訪問時の記録は「2022.04.30-05.07 南から北へ230」を参照。

*2:制作番組|えふぶんの壱」より。最終回の日付が2月になっているが誤りだろう。

*3:2001,3,3~2001.12.15の10日間。

*4:2001.12.30~2002.5.1の11日間。

*5:2002.7.31~2002.11.24の14日間。

*6:Internet Explorerであれば文字ずれは発生せず普通に読めた。

*7:いろいろ考えていることがあるので、今のことろ自分は未読。

*8:musashi氏のブログからキャナル氏のサイトにはリンクが張られているものの、逆は見当たらなかったので断言はやめておく。

*9:当該サイトでは200本となっているが、うち1本はフェリーのため除外した。

*10:バス乗り継ぎのための3.5kmと関門海峡の0.9kmの合算距離。

*11:ブログで把握できる範囲のみ。寄り道っぽいバス利用は除外した。

*12:バス移動した日のみをカウント。ブログで把握できる範囲のみ。

*13:都道府県への立ち寄りを意味していると思われる。

*14:前二者はバス旅としては切れているが旅行としては繋がっており、また岐阜での中断中はアルバイトをしていたようだ。

*15:与那国島。日本最西端のバス停があるところ。

*16:以下で説明している「路線」での利用バス数の合計。

*17:以下で説明する「路線」の日数を合算した。

*18:稚内駅前バスターミナル~フェリーターミナル前(函館)。

*19:フェリー乗場前(大間)~東京駅八重洲口。

*20:東京駅丸の内南口神戸駅前。

*21:神戸駅前~竹の子島(下関)。ただ、九州方面へ乗り継ぐためには手前の御裳川で降車する必要があるため、下関駅前~竹の子島の路線バスは上記のカウントに含めていない。

*22:関門トンネル人道口~久部良(与那国島)。

*23:ちなみに「机上プラン」と書かれているものはわずかであり、著者の「乗りバス」経験は相当なものであると思われる。

*24:ちなみに自分が購入した書店には1冊だけ置かれていた。

*25:ブログ上では新城駅で中断している。なお、中断区間はそのままで富士駅平塚駅間のバス移動は行っている。

*26:新城郵便局前までの本数。

*27:新城駅到達までの日数。

*28:リタイヤするに至った経緯は「路線バスで日本縦断 【10日目】 : 雪電柱」を参照。

*29:大間→仙台(「南から北へ」)や直江津ショッピングセンター→富山→中津川駅前(「金沢→長岡」および「中津川→富山」)など。

*30:特別編の「四国逆回り」は除外した。

*31:直上の注参照。

*32:例を挙げると、積雪への不安から福島~仙台間は高速バスを利用し、また千葉県へは東京湾アクアラインで入っている

*33:実際に、乗ったバスが三陸道に入った際はやり直している

*34:積み立てる金額は毎朝のルーレットで決まる。

*35:ルールを決めておく」を参照。

*36:おかげで最終日の宿泊先選定には随分と苦労した。

*37:わらしべ長者町氏は高速バスを利用しているが、「極力乗らない」スタンスなので同類だと思っている。

*38:実際「金沢→長岡」では、自分も柿崎~柏崎間で高速バスを利用している。