空はいつの間にか厚い雲で覆われていて、天候は悪化傾向にある。風も幾分冷たくなってきたようだ。台風が近づいているので、明日以降の天気には期待していないのだが、今日ぐらいはなんとか持ってほしいものだ。
2017.10.27[Fri]
阿蘇駅前13:40→杖立15:03
九州産交バス[7]、¥1,120、40.9km
杖立温泉行
利用者数を考慮してか、ずいぶん小ぶりなバスがやってきた。行き先表示が「杖立温泉」となっているが、「杖立」行で間違いなさそうだ*1。乗車時間は1時間半ほどであり、距離もけっこうあるようだが、このサイズのバスで済む程度の利用しかないのだろう。阿蘇駅前から乗ったのは自分たちを入れても3人だけだったし。
バスは駅を出て跨線橋を越えると、まずは内牧温泉方面を目指す。基本的には国道212号を進むが、ところどころ旧道を経由して集落の中へ入っていく。が、特に乗降があるわけでもなく、淡々と内牧へ近づいていく。内牧では1人乗車。乗客4人と運転士1人で外輪山越えとなる。
はな阿蘇美入口の先で国道212号に戻り、すぐに急坂を駆け登るようになる。これ以降、バス停の間隔が広くなり、住民がほとんどいないエリアとなる。はな阿蘇美入口から次の集落となる馬場までの所要時間と料金をまとめてみるとこんな感じだ。
バス停 | 所要時間(分) | 運賃 |
---|---|---|
はな阿蘇美入口 | - | - |
キャンプ村入口 | 0:08 | ¥260 |
大観峰入口 | 0:12 | ¥330 |
茗ヶ原入口 | 0:14 | ¥350 |
唐笠松 | 0:21 | ¥540 |
馬場 | 0:27 | ¥650 |
このバスは初乗り運賃が150円のようなので、いかに運賃がうなぎのぼりなのかが分かると思う。大観峰入口までで山登りは終了、乗降はないが時間調整のため少々停車し、上り坂でため込んだ後続車を解放する*2。大観峰入口以降は、でこぼこした草原のような眺めの中を進む。途中、ぽつりぽつりと観光客向けの店がある程度で、純粋に民家と呼べそうな建物は馬場まで見ることはなかった。
茗ヶ原入口~唐笠松間の景色
馬場から先に進むと、すぐに南小国町の中心街となる。今回は通り抜けるだけだが、こちらには黒川温泉や満願寺温泉などの魅力的な温泉があり、一度は来て泊ってみたいところだ。南小国の小さな市街地を抜けてまた国道212号に復帰すると、今度は小国町のテリトリーへ。さきほどの南小国町よりも一回り大きな感じだが、それでもこじんまりした雰囲気だ。小国高校前で阿蘇駅前から乗車した人が、おぐに老人保健施設前で内牧から乗車した人がそれぞれ降車し、今回の旅で初めて「自分たちだけが乗客」になる。それが何かの合図になったのか、突然運転が荒くなり、前よりも飛ばすようになった*3。小国町の市街地を抜けた後は快調に進み、終点の杖立へ到着。ほぼ時間通りだった。 杖立では2時間ほどの待ちとなる。せっかくの温泉だ、まずは温泉街をうろつきつつ、共同浴場を探すことにした。
杖立温泉
弘法大師の短歌が地名の由来となっている杖立温泉は、100℃近い湧出温度の塩化物泉だ*4。以前は歓楽街を持つ温泉としても栄えていたらしい*5が、現在は大きいホテルが2つと、あとはこじんまりとした旅館ばかりのさびれた雰囲気になっている、個人的には好みのタイプの温泉街だ。ここは「こいのぼり祭り」が有名だが、Googleマップの航空写真を見るとちょうどそのころに撮られた写真のようで、杖立川*6を鯉のぼりがたなびいている。
鯉のぼりのいる杖立温泉
バス停のあった岸の対岸に行くと共同浴場「御前湯」があると書いてあったので、杖立川を渡って共同浴場「御前湯」へ向かう*7。雰囲気の良い、狭い路地をくねくね進むと奥まったところに御前湯はあった。200円を払って、誰もいない湯船へ。温度が高いと聞いていたがそれほどでもなく、また共同浴場の天井が高いせいかあまり蒸し暑くもなく、非常に快適だ。松本さんはタオルを持ってきてないとのたまう*8ので、仕方なしにタオルを1枚謹呈する羽目に。
杖立温泉 御前湯(写真を撮り忘れたのでストリートビューで代用)
30分ほどのんびり浸かった後は、近くの杖立薬師堂で涼みつつ、猫と戯れる。まことに有意義な時間だ。
杖立薬師堂にいた猫
その後はバス停へとゆっくり戻ったが、それでもまだ1時間ほどある。周辺を散歩すると、以前より松本さんが言っていた「この辺では石の彫り文字を金色に塗るようだ」が見つかったので、写真に収めておく。どのような意味があるか分からないが、このあたりはこういう風習があるようだ。ちなみにすべてが金文字ではなく、表のみだったり、裏も横もすべてだったり、まったく塗ってなかったり、といろいろだ。さすがに墓石などもそうなので、おいそれと聞ける話でもなく、疑問は疑問のままだ。
杖立温泉の「金文字」
内牧温泉の「金文字」
翌日、日田市内で見かけた「金文字」群
*1:九州のバス時刻表や産交バスのサイトで調べると、「杖立」としか表示されないから、バス停は杖立が正しいはず。ただ、行き先表示としては杖立温泉のほうがイメージしやすいのも事実。要はバス停の名前を変えれば良さそうだが、それはそれで手間と時間とお金がかかる、ということでの現実解なのかもしれない。
*2:個人的にはこのような後続車のことを、グラディウスのそれになぞらえて「オプション」と呼んでいる。このときのオプションは10台以上あったと思う。
*3:おぐに老人保健施設前バス停でバス待ちの老人に数分絡まれていたのが理由かもしれない。
*4:wikipedia:杖立温泉より。
*5:地域は違うが、「歓楽街を持つ温泉」というのを卒論で扱ったので、今でもこの言葉を見るとつい反応してしまう。
*7:後で調べたら、ここ以外にも共同浴場や露天風呂があったようだ。バス以外の事前調査を怠りすぎである。
*8:温泉場で乗り継ぎ2時間待ちなら、当然こうなることは予想できたはずだが。