ホテル佐多岬で乗車したバスから数えて226本目のバスに乗る。これが「南から北へ」の最後のバスとなる。
2022.05.05[Thu]
音威子府(発)～浜頓別ターミナル12:59→宗谷岬14:55～稚内駅前ターミナル(行)
宗谷バス 天北宗谷岬線、¥1,830、76.3km
浜頓別ターミナルには音威子府行が入線した後に稚内駅前ターミナル行がやってきた。どちらもここで10分の休憩となる。稚内行のバスは3人乗車でやってきてそこから2人が降車、それに8人が乗り込んんだのでなかなかの盛況といえる*1。無論興部から同行している（たぶん）同好の士も一緒だ。もしかしたら音威子府方面から乗り通してきた利用者も同類かもしれない。
出発してしばらくはクッチャロ湖に沿って内陸を進み、すぐに人家もまばらな牧草地帯を進むようになる。風が強いものの気持ちの良い空が広がる。バスを降りた高校生が迎えの車に乗り込んで家路につく風景も北海道らしいような、そうでないような。浜猿払までは国道沿いに進むが、その先は国道から逸れて再度内陸へと進む。猿払村の中心のような名前のバス停である猿払は、バスの転回場はあるものの人家がまばらなところにあった。かつての天北線猿払駅がここにあっただけの経由地、といった風に理解した。
しばらく内陸を進んだのち、芦野で転回して浜沿いの国道へ戻る。このあたりで砂浜に穴を掘るキタキツネを見かけた。エゾシカも数回見かけたが、こちらはもう見慣れた風景になりつつある。浜鬼志別を過ぎるとバスは左折し、鬼志別ターミナルを経由する。ここで3人が降車した。浜頓別で乗車した高校生はここが最遠地だった。
鬼志別ターミナルと宗谷バス
鬼志別ターミナルでは10分ちょっとの休憩。同好らしき2人はターミナル内の資料館へと向かうが、自分はバスの前に停車していたワゴン車が気になったので眺めにいく。宗谷バスから乗り継いだ利用者とともに、猿払村デマンド自動車*2のワンボックス車が、すぐに小石方面へと去っていった。デマンド自動車の出発時刻は時刻表上14時15分発となっているが、ほかに予約が入っていないので早発したものと思われる。
走り去る猿払村デマンド自動車
鬼志別ターミナルは乗客5人で出発する。鬼志別からの乗客は浜鬼志別局前ですぐに降車し、浜頓別からの（うちひとりは興部からの）見慣れた乗客だけでその先へ進む。
なおこのバス、鬼志別から先は14時台の運行にもかかわらず稚内方面の最終バスとなっている。稚内から宗谷岬へは、以前はもう少し本数のある路線だったが、近年利用実績のかさ増しか何か*3で補助金が打ち切りとなり、結果運行本数が大きく減少して今日に至っているようだ*4。また、もともとは天北線の廃止代替といういことで、鉄道路線と同じルートとなる小石を経由するバスだったが、利用者があまりにも少なくて小石経由ではなく宗谷岬経由となった経緯もある。直通するバスがなくなった小石地区の人*5は踏んだり蹴ったりの話だが、南から北を目指す自分には宗谷岬へのアクセスはしやすくなっている。もちろん、かさ増しが良いことだとは思えないが*6。
話が幾分逸れてしまったが、先ほどの浜鬼志別局前からは最近開設されたバス路線（小石経由のバスが宗谷岬経由になった際に運行されるようになった区間）ということになる。しばらくは海沿いに延びた直線状の道を進んで、苗太路の先で稚内市へと入る。このあたりの海岸線に建つ家はどれも豪華に見えた。猿払村が豊かな村であるという印象が強いせいかもしれないが、そう見えた。
稚内市に入ったが集落は東浦だけで、東浦から大岬小学校前までの区間は無住の地域だ。もちろんこの間にはバス停もなく、区間運賃は460円となっていた*7。風景も、東浦からの山越えの最中に通過する深い原生林から樹木のまばらな海沿いの丘の道までバラエティに富み、素晴らしい景色だった。たぶんホテル佐多岬を出発してから唯一無比、ぶっちぎりで最高の眺めだ。まあ、ゴール直前だからそういう気持ちにはなるだろう。
東浦～大岬小学校前間のまっすぐに伸びる道
ぽつぽつと人家が見えてくるとようやく大岬小学校前、こちらのゴールもあと少しだ。いくつかバス停を通り過ぎると「次は宗谷岬」のアナウンスが流れ出す。これまで何度もそうしてきたように降車ボタンを押すと、次の停留所でバスは停車する。ゴールだ。
*2:詳細は「猿払村の公共交通について」を参照のこと。
*3:発券なしの回数券の買い支えらしい。
*4:このあたりは「wikipedia:天北線」および「日本最北の長距離路線バス「天北宗谷岬線」に乗った 171kmの鉄道代替バス 寂しき現状 | 乗りものニュース」を参照した。
*5:さきほどデマンド自動車に乗り換えた人がまさにそうだろう。
*6:ただし、そこまでしちゃった事情については十分理解できる。
*7:時刻表の走行時間は16分となっている。
