2019.08.11-13 南から北へ126

朝はクマゼミの声で目を覚ます。クマゼミの生息域は西の方というイメージがあり、富山の自宅周辺では見かけたことはないが、このあたりでは普通に生息しているようだ。機密性の高いホテルの部屋の中までよく聞こえる「シャワシャワ」という声は、聞き始めこそ物珍しさもあったが、すぐに騒々しさしか感じなくなっていた。

バスの乗り継ぎをしていると、ホテルの朝食時間より早く出発しなければならないことが多い。明るいうちにできるだけ余裕をもって進みたい、よってその日一番のバスに乗りたい、といった理由による。こればかりは仕方がないのだが、本日は朝一のバスが遅めなので、ゆっくりと朝食をいただいてから出発する。

ホテルの食堂には、部活の大会でもあったのか、ジャージ姿の女子高校生がにぎやかに召し上がっていたが、皆さん揃って米ではなくパンだった。最近の流行りなのか、それとも顧問の方針なのか。いろいろ考えを巡らせていると、食後のデザート的なタイミングで、他の人たちはヨーグルトなどを食べているときに、一人だけ納豆をチョイスしていたのがえらく印象的だった。まあ、どちらも発酵食品という共通点はあったので、あまり深く考えないことにする。

朝の待合所とおいでんバス
豊田市東口バス待合所

昨日のうちに下見した豊田市駅東口に出て、しばらくは待合室でバスを待つ。出入りするバスは多いが、ほとんどがコミュニティバスとよたおいでんバス」の車両だ。大きな車体のバスもあり、祝日でも朝から利用者は多く、コミュニティバスというより市交通局レベルのような規模に見える。もちろん、これから乗るバスもそんな「おいでんバス」の1種となる。

2019.08.12[Mon]
豊田市08:30→どんぐりの湯前09:48
豊田市 とよたおいでんバス [7]稲武・足助線(快速いなぶ)、¥1,200、44.3km

豊田市東口にて
とよたおいでんバス どんぐりの湯前行

行先に「どんぐりの湯前 快速」と表示されたバスがやってきたので乗り込む。これで一気に稲武まで進める。元々は足助で乗り継ぐルートを想定していたので、この快速に気づいたときは少々嬉しかったのを覚えている。ただし、一気に進めたとしてもその先で乗り継ぐバスはしばらくない。今日はそんな行程ばかりの予定だ。

乗客は5人、途中の乗降もなかったので、そのまま終点まで同数だった。1時間以上走るのに途中のバス停はわずかに3つ、それも乗降が明確に区分されたバス停のみで、快速の名にふさわしいというか、車体は小さいが高速バス的な趣さえある。経由するバス停は、豊田スタジアム勘八中根(乗車のみ)、それに水別広場(降車のみ)で、途中の足助地区は無視して進むというのもすごい*1。旧稲武町住民専用バスといった感じだろう。

8時くらいまでは抜けるような青空だったが、バスが出発するくらいには雲で覆われるようになってきた。バスはまず駅から東進し、豊田スタジアムの横を抜けたあと、豊田市の外環状線を北へ向かい、矢作川の手前で国道153号に出る。あとは道なりで稲武だ。矢作川沿いを走るようになるとすぐに勘八中根のバス停となるが、周囲に住宅もなく、退避場だけがあるところだった。ここで時間調整の小休止、実際それ以外の利用価値はなさそうな場所に思える*2。快速とは言え、街中でのバス停を増やすなど、もうちょっとバス停の配置は見直した方が良いように感じた。


勘八中根バス停

低めの分水嶺を越えると足助に入るが、バス停もなく市街地も経由しないので、足助の印象はほとんどない。強いて言うなら、看板に五平餅と書かれている頻度が高くなったくらいだろうか。その後も2度ほど峠を越え、2つ目の峠の先でようやく水別広場のバス停となるが、前述のとおり降車はない。「水別」という地名が峠っぽくて好みだが、何回も峠を越え、川の流れる方向が変わっても、すべての水は矢作川に注いでいることを後日知ってちょっと驚く。どこまで行っても矢作川と国道153号から離れない、そんなルートだった。

水別広場の次は終点のどんぐりの湯前だが、水別広場のバス停に寄るために道路右側の駐車場内に入ったおかげで、元の道路に戻るのにしばらく難儀する*3も、その後はスムーズに流れて、すぐにどんぐりの湯前に到着する。降りた客は皆どんぐりの湯へと向かうものだと思っていたが、まさかの誰も向かわずだった。次のバスまでしばらく時間があるので、こちらは計画通りにどんぐりの湯へ向かう。

どんぐりの湯でしばしくつろぐ。別にお湯の中にどんぐりが入っているわけではなく、施設内通貨でどんぐりが流通していることもない、普通の日帰り入浴施設だ。浴槽の種類が多く、値段*4の割には充実した施設だった。夏場ということもあって風呂は空いていて、ぬるめのお湯に浸かりながらぼーっとする、なんてのんびりとした時間の使い方をした。この日利用したのは2階の浴室だったけど、1階の風呂は造りが違うらしいので、もう一度立ち寄りたい温泉ではある。たぶんそんな機会はないだろうけど。

またこの先、食事をする場所がなさそうなので、有り余る時間を活用して併設の食堂で昼食を済ませておく。入浴後ということもあってついビールを頼んでしまい、あわせてつまみには冷奴、そしてとろろがかかったヘルシー丼。どんぶりには崩した豆腐も乗っていたので、見事に冷奴とかぶってしまう。そういえば昨日気に入った山芋と豆腐のステーキともかぶっていたりと、まるで『孤独のグルメ』ばりのかぶりっぷりだ。同じメニューが続いてもあまり気にしない性質、というか自発的に続けてしまう性格なので、今後も似たメニューを見かければつい選んでしまうかもしれない*5


*1:香嵐渓の行楽シーズン(11月)は足助を通らないルートで運行されるため、それを見越してバス停を設けなかったのかもしれない。

*2:一応、バス停前に中部電力の管理事務所はあるが、いずれにせよバスでは稲武方面からしか訪問できない。

*3:降車専用バス停なので、降車ボタンが押されてないのなら、わざわざ経由する必要はないと思うのだが。

*4:通常大人一人600円。JAFの割引があったので、500円で利用した。

*5:残念ながら続くようなことはなかった。