2021.08.08-14 富山県内のバスに乗る27

以前と同じように、液晶モニターで表示される
黒部駅のバス案内モニター

電鉄黒部駅ではモニターがなくなっていたが、黒部駅では健在だった。電鉄黒部駅のだけ調子が悪くなって、でも機器を更新する費用がないのであんな状態になっているものと想像する。さて、しばらく電車の乗り継ぎばかりだったが、黒部に戻ってきたので、暗くなるまで何本かバスに乗っておく。

2021.08.12[Thu]
黒部駅16:25→生地駅16:55
黒部市 [06]南北循環線③、¥200、7.3km

黒部駅にて
黒部市 生地駅

黒部と生地を結ぶ路線が何種類かあるので、それに乗ってみる。まずは、未乗車の南北循環線から。南北循環線は朝の系統①、昼間の系統②、夕方の系統③④の4種類があって、それらが黒部駅生地駅とを結んでいる。実際に大きくルートが異なるのは系統④のみで、それ以外の差異は黒部中心部のルートが微妙に違うことくらい。まずはバス停に停車していた系統番号③のバスに乗り込む。

ちなみに、上で触れた系統番号は、黒部市公共交通戦略推進協議会の情報に拠った。ただしこの表現は統一されておらず、バスの行先表示には「外回り」「内回り」と書かれていたり、地鉄のバス時刻表*1では「山側ルート」「海側ルート」といった表記になっている。運行を委託されているのは、「外回り」が地鉄、「内回り」が桜井交通のようだった*2*3。運行管理上は「内外」表記が分かりやすいのかもしれないが、利用している側からみれば地鉄時刻表の表現である「山側」「海側」の方が理解しやすい。黒部市の系統番号は正確な印象を受けるが、細かな違いを意識しなければいけないほどルートが分かれないので、そこまで精緻に書かなくても良いように思う。

乗車したバスは桜井交通が運行するバス。これで生地駅まで行って、帰りは別の系統のバスに乗るつもりだ。乗車してみると、どんなコミュニティバスでも必ずあった運賃箱が存在しない。代わりに、見慣れない地味なカードリーダーが据え付けられている。バスはYKKの工場や寮をめぐるルートなので、YKK社員のICカードを読ませるものと推測するが*4、運賃箱がないバスは初めてな気がする*5

「車内事故防止のために 扉が開いてから席をお立ち願います。」/日英中韓の4か国語表記
東武バス時代のステッカー

また、座席の後ろに張られたステッカーは東武バスのものだった。イラストには雷門やスカイツリーが描かれていたので、以前は浅草周辺で使われていたバスだろうか。こういった細部に残る出自というのはけっこう気になって見てしまう。

黒部駅からの乗車は自分だけで、バスはまずYKK黒部寮を経由し、市民病院や電鉄黒部駅を通らずにメルシーから黒部市役所前パッシブタウン・黒部郵便局と進む。車内には液晶モニターがあり、そこに次のバス停案内が表示されるようになっている。表記は日本語と英語で、例えばパッシブタウンなら「Passive Town」となっていた*6が、メルシーだけは「Merushi」となっていたのがちょっとお茶目だった*7。メルシーは英語じゃない、という対応した人の強い想いが伝わってくる。

乗客はいないまま終点かな、と思うようになってきたYKK黒部栃沢工場で1人乗車があった*8。また、YKK体育館でも生地駅へ向かう社員の方の乗車あり、「いつもは駅まで歩いて行くけど、バスの時間と合えば乗車する」みたいな利用者なんだろうなあと思った。

このバスで一番驚いたのは、YKKの敷地内に入っていくこと。YKKセンターパークからYKK体育館にかけては、ゲートのある道路からYKKの敷地に入る。Google マイマップの地図上では道路が繋がっていなかったので表現できていないが*9YKK体育館手前では道なりに直進してから左折して、体育館の北側に出ている。こういった構内通過タイプの運行なら、終点が学校や工場になるバスよりも乗りやすい*10。路線名の揺れや経由地の特殊さ、南北循環線は見どころの多い路線だった。

生地駅では3人とも降車*11YKK関連のバス停利用者はそのままあいの風とやま鉄道へ。自分は次のバスをどうするかで悩み始めた。


*1:令和3年4月1日(木)乗合バスダイヤ改正」の追記部分に「バス冊子時刻表PDF」があり、この中の「⑬黒部・魚津地区[pdf]」を参照した。

*2:このため、系統③と④という表現の場合、行き先によって運行会社が異なってくる。

*3:なお、前述の地鉄の時刻表には、桜井交通運行分の時刻も掲載されている。

*4:実際、降車の際にかざしていた人を見た。

*5:後日確認した黒部市のサイトには、南北循環線の乗り方として運賃箱がない車両では運転手に運賃を渡してくださいとあった。車両の細かい仕様違いまで把握したうえで、サイトにそれを反映しているのは素晴らしい。

*6:他にも郵便局や小学校も発音をそのままローマ字表記にせず、ちゃんと英語で置き換えられていた。

*7:ショッピングセンターのサイトをみても分かるように、「Merci」表記が正しい。

*8:なお、もう一つの工場名バス停であるYKK黒部古御堂工場では、利用者はいなかったものの、時間調整のため4分ほど停車した。

*9:航空写真に切り替えれば、道路が繋がっていることを確認できる。

*10:というか、「終点が敷地内」タイプだと、個人的には利用を避ける傾向にある。

*11:なお、運賃支払いはサイト記述のとおり、運転士に手渡しだった。