2019.04.26-05.03 四国逆回り25

大野見では、久礼行以外にもコミュニティバスっぽいワンボックスが停まっていた。中土佐町コミュニティバスのようだが、祝日でも運行しているのは珍しいように思う。久礼や窪川からのバスに接続すると時刻表[pdf]では謳っているが、乗客は見えなかった。

2019.04.30[Tue]
大野見16:25→久礼16:50
四万十交通、¥500、14.1km

大野見にて
四万十交通 久礼行

「この人久礼まで行きたいそうなんで」と、窪川からの運転士が久礼行の運転士に引継ぎしているのを耳にする。バスに乗客はなく、そのせいもあってかバスに乗っている間の運転士は饒舌だった。ニューレオマワールド行の運転士足摺岬行の運転士に続く、いろいろ教えてくれる運転士第3弾だ。

曰く、「この間も同じルートでテレビのやつ乗せたよ。ほら、太川陽介のあとのやつ」*1、「(バスで四国一周という)同じようなことしている人、前も乗せたよ」、「バイパスできても、住民が1人でも反対したらルート変更できないんだよ。窪川からのルートでも狭い道のところあったでしょ」*2、「路線廃止やバス停の廃止は時間がかかるし、一度廃止すると復活は面倒だからなかなか廃止しないね」などなど。

話の合間に久礼での乗り継ぎを聞いたら、余裕で間に合うとのこと。四万十交通のダイヤは相当余裕のある設定なのかもしれないし、単に利用者が少ないからかもしれないが、ちょっと安心する。実際に、ここまで乗った四万十交通のバスで、到着が大幅に遅れたことはなかったし。

バスは大野見役場前まで元来た道を戻って左折、イセ川口で夏枯峠経由のルートと分かれ、走り良い道である七子峠のルートで進む。「4,5年前に住民の要望でできたルート」とのことで、イセ川口以降のバス停は終点の久礼を除けば3つしかないが、現状では夏枯峠経由の2往復に対して5往復と、七子峠経由が主流となっている*3。大野見トンネルで分水嶺を越えて、床鍋からは国道56号を走る。この辺は雨も強く、山間部ということもあってガスが出ていて、見晴しどころか見通しすら十分でない。そんな道を駆け下りていくと、いつの間にか久礼の街へと入っていく。

四万十交通の久礼バス停は駅前の広場にあった。ここにバックで止めて降車扱いとなる。運転士がわざわざ降りてきて、久礼駅前のバス停を教えてくれる。次に乗るバスが発車する久礼駅前バス停は、久礼バス停とは異なる位置にあるようだ。運転士にはお礼を言って、土佐久礼駅から離れたところにある久礼駅前へ移動する。「離れた」といっても、せいぜい100メートルほどではあるが。


*1:テレビを観ないので詳細は不明だが、おそらく2018年3月放送の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z 第5弾」のことと思われる。

*2:直前に乗った路線の根元バス停前後のことと思われる。

*3:なお所要時間は、今回乗車した七子峠経由の方が夏枯峠経由より5分短い。このことから、久礼大野見間の利用者が多く、途中バス停での乗降が少ないのではないかと思われる。

2019.04.26-05.03 四国逆回り24

2019.04.30[Tue]
窪川駅前15:30→大野見16:20
四万十交通、¥1,120、27.1km

窪川駅前にて
四万十交通 大野見行

佐賀からきたバスも、そしてこれから乗る大野見へ行くバスも、土佐くろしお鉄道の駅舎前から出発する。5分くらい前にバスのドアが開いたので乗車する。中ドアはあるが、前乗り前降りの運用のようだ。事前調査が不十分で、かつ次のバスへの乗り継ぎ時間が厳しいこともあり、あらかじめ運転士にどこで乗り継げばよいか確認すると*1、終点でバスが待っているからそれに乗ればよいとのこと。もちろん素直に従うことにする。

乗車があったのは窪川駅前のみで、乗客は計3人。雨はほぼ止んだが、雲の色はより濃くなってきている気がする。窪川の街はすぐに抜けて、呼坂を通過すると、バスが進むにはちょっと考えられないような、線路脇の側道みたいな道へと入っていく。


根元へ向かう道

速度は20キロくらい、非常にゆっくりと進むが、道幅がとんでもなく狭いので、それも仕方がない。根元を通過すると、それまでの狭いながらも視界の広い道からガラッと変わって、狭さは変わらないが鬱蒼とする森の中を進むようになる。こちらもゆっくりと進んで、森を抜けた先の広い道へ出て、狭小区間が終了する。


根元の先の狭小区間終了地点

根元バス停近くのストリートビューがなかったので、ルートの入口と出口の画像を使用したが、どこかとんでもないところへ連れて行かれるのではと不安になるような道だった。ただし、先ほどまでの経路が嘘だったかのように、その後は2車線ある県道19号窪川船戸線を進む。バス乗車時は気づかなかったが、大野見まで四万十川に沿って走る路線だったようだ。

車内放送はあるので次のバス停が何かは把握できるが、立っているバス停の自己主張が弱いので、バス停を通過してもしばらくはどこにバス停があったのか把握できなかった。例えばスベリ道バス停だと以下のような感じで、まるで奈良交通で見た自由乗降指定地のようだ。なお、バス停は道路の東側、すなわち窪川駅前方面のものを表示しているが、もちろんこちら側にしかバス停はない。


スベリ道バス停

なお、窪川駅前周辺では*2、上部に円板のついた、「バス停 ピクトグラム」で検索すると出てくるようなバス停となるが、全体的に錆びていて識別困難なものも見受けられる。


呼坂バス停

小野川で1人降車。栗の木大橋を過ぎると、それまで対岸に並行して設定されていた松葉川温泉行のルートと分かれる*3、また、これ以降は2車線対応されていない未改良の道も増え、県道も四万十川の流れに合わせた、くねくねしたルートをたどる。そのうち集落が途切れ、利用する機会の少なそうな場所に野老野急カーブバス停が現れる。足摺岬付近直前に乗った窪川までのバスでも見かけた、いわゆる「カーブ」系バス停だ。今回は「急」がついていたが、「大」との形容の違いが気になるところではある。いずれにせよ、人家のないところのバス停という点において、「カーブ」バス停は共通しているようだ。

野老野急カーブの先で、とうとう四万十川の蛇行に付き合いきれなくなった県道が小さな鞍部を越えると、竹原となる。このあたりから長野渡にかけては、県道から逸れて集落を経由して進む。その途上にあった竹原学校跡バス停、バス停名がただ物悲しい。また、長野渡の直前で渡る橋は沈下橋だった。バスが沈下橋を渡る姿は画になるんだろうなあ、なんて思う。

平地や人家も増えてきて、そろそろ大野見かなと思い始めた奈路で1人降車。すっかり乗客は自分だけと思い込んでいた中での降車ベルに驚いてしまう。続く大野見役場前を通過すると、すぐに終点の大野見。出発前に運転士が言った通り、診療所の前に次のバスが待機していた。


*1:終点の1つ手前、大野見役場前バス停で降りるという選択肢もあったので。

*2:ただし、前述のスベリ道バス停も、窪川駅前から数えて5つ目のバス停だ。

*3:越行バス停以降、松葉川温泉行のほとんどの便は四万十川の右岸を走る。

2019.04.26-05.03 四国逆回り23

そういえば次に乗るバス停の位置を把握していなかったので、周辺を探す。次のバスも佐賀が起終点となっているバスなのに、終点方面へのバス停はあるものの、逆方向へ向かうバス停が見当たらない。終点近くで省略されるのはその終着地へ向かうバス停だと思っていたが、そうでもないようだ。結局バス停は1つしか見つからなかったが、そのバス停に両方向の時刻表が掲示されていたので*1、道路の反対側で待った。

白地に赤文字のへんろ道案内と佐賀中方面のバス停
へんろ道案内(中央)と佐賀駅前バス停(左)

土佐佐賀駅あたりもへんろ道のルートになっているらしく、バス停近くには歩き遍路の案内板があった。上記写真のような指示の場合、右下へ向かう下り坂を進むということになる。バスを待っている間にも数名の歩き遍路がここを降りていった。この赤矢印、見落とすときついんだよなあ、でも割と高頻度に見かけるので、見かけなくなったらすぐ引き返せば何とかなるんだよなあ、なんて20年近く前に一国だけやった歩き遍路のときのことを思い出した。

バスを待っているうちに雨が強くなってくる。傘を差して待っているとバスがやってきた。

2019.04.30[Tue]
佐賀中(発)~佐賀駅前13:07→窪川駅前13:40
四万十交通、¥960、21.6km

佐賀駅前にて
四万十交通 窪川駅前行

ここからは四万十交通のお世話になる。アナウンスあり、運賃表示器もありと、最近の一般的なバスになるが、行先表示は「窪川-佐賀」といったスタイルで、どちらへ向かうバスなのか把握していないと逆方向へ連れて行かれる可能性のあるバスだ。運賃表示器も最近どこでも見る液晶タイプだったが、ひらがなは表示されるものの、ローマ字表記は表示されない。行先の区間表示もローマ字未入力もつまるところは省力化、運行コストの削減目的だろうか。

ルートは1本前と同様に、基本的には国道56号を進む。国道から外れるのは両端部と熊井バス停付近くらい。拳ノ川峠バス停も道路わきの側道に入ったから、ここも若干とはいえ国道から外れた。拳ノ川峠以降、山あいに入るにしたがって天気はひどくなるばかり。そんな中、次のバス停案内で「片坂大カーブ」と入り、思わず背筋が伸びる。足摺岬以来のカーブ名バス停だ。曇りつつあるガラスを手で拭って、バス停を把握しようとしたものの、バス停を確認することはできなかったが、高知県ではもしかしたらポピュラーなバス停命名法なのかも、という想像がむくむくとわいてきた。

険しい道を登りきると、一転下りは緩やかになる。平地に田畑が見え、人家も増えてくると終点は近い。結局自分以外の利用者は姿を見せぬまま、窪川駅前へ到着する。終点の窪川駅前土佐くろしお鉄道の駅舎の前だった。駅舎内には四万十交通の事務所も入っている。次のバスまで約2時間、ここで待つことになる。

駅に向かって左側が待合室、右側が四万十交通の事務所
土佐くろしお鉄道 窪川

時間はたっぷりあるのでJRの窪川駅の方へも行ってみる。土佐くろしお鉄道の待合室にはほとんど人がいなかったのに対し、こちらは人でごった返している。何でもトロッコ列車が立て続けに出発するらしい。でも、こんな天気と分かっていたらトロッコなんて乗らないよなあ、なんて思う。

待ち人が多いせいか、待合室が蒸し暑いので駅舎から出ると、JRの駅前でもバスの発着があるようで、その路線が掲示されていた。コミュニティバスと興津、志和行はJRの駅前から、それ以外は土佐くろしお鉄道の駅前が発着地と書かれている。駅前が狭かったり、元の路線がJRバスだったりなど*2、いろいろ理由は想像できるが、一見さんには難易度が高そうに思える。

本数は多くて1日に5本だが、コミュニティバスはどの路線も週1の運行
JR窪川駅前に掲示された四万十交通時刻表

さて、まだ時間がある。くろしお鉄道の駅へ戻り、掲示された路線図を眺めたり、駅舎内のベンチで本を読んだりして時間を潰した。

土佐くろしお鉄道窪川駅にて。web掲載のものより細かい感じ
四万十交通 路線案内図


*1:通常はそのバス停から乗れるバスのみ掲示されている。両方向が添付されているということは、対になるバス停が存在しないという風に考えた。

*2:たしか興津へ向かうバスがそうだったような。