2022.04.30-05.07 departure2

鬼志別ターミナルより
かつての鬼志別駅前通

北海道に来て早7日。前日、宿のおかみさんに「8時のバスに乗る」と伝えたところ、通常は7時半からの朝食を7時からにしてもらった。宿泊者が少ないから融通が利いたのかもしれないが、他にもいろいろ細かい対応をしていただいたので、この宿には感謝しかない。何度も訪れたいところだが、あまりにも遠すぎるのが難点だ。

鬼志別ターミナルにて
鬼志別駅発車時刻表(1988年11月3日改正)

鬼志別ターミナルには早めにやってきて、昨日はスルーした資料室を見学、天北線時代のものを眺めたりした。鉄道が廃止になると、その後に運行を開始するバスはたいてい運行本数が多くなるものだが、さすがに鉄道廃止後30年以上も経つとバスの本数も減ってくる。廃線直前には稚内行が1日7本もあったのに、現在バスは4本しかない。それでも鬼志別発旭川行の都市間バス・特急天北号*1が1日1往復運行されていて、ターミナルとしての矜持を感じる。

時刻表と運賃表は手書きだった
鬼志別ターミナル窓口

安く済ますなら回数券だが、そんな気分にはなれず浜頓別のときと同様に再度きっぷを購入した。さすがに「稚内」の文字は判子だった。

2022.05.06[Fri]
鬼志別ターミナル08:00→稚内駅前ターミナル09:46
宗谷バス 天北宗谷岬線、¥1,690、65.2km

鬼志別ターミナルにて
宗谷バス 稚内駅前ターミナル行

この日は平日だが、街に出る高校生風の若者が2人乗車してきた。今年のGWは月曜日と金曜日が平日という(昔に比べればかわいい方だけど)飛び石連休となっている。だからといってサボりというわけではなく、何かの振替でこの日は休みになったんだろうなあと想像する。高校生は慣れた手つきでUSBコネクタにケーブルを差し込んで、乗車後すぐにそれぞれが自分の世界へと入っていった。

浜頓別ターミナルにて
宗谷バス車内にあったUSBコンセント*2

鬼志別ターミナルを出発すると、宿のおかみさんが玄関先で手を振ってくれていた。こちらも思わず手を振りかけるが、恥ずかしさを感じて躊躇してしまう。「誰も見ちゃいないのに」と後悔する。

鬼志別ターミナルから宗谷岬まではこの旅で3回目の利用で、結果として1.5往復することになる*3。このため、前日往復した際に気になっていた、猿払村漁業協同組合ほたて総合加工場近くに山積みされた貝殻を撮影したりできる。まさに現代の貝塚だ。

猿払村漁業協同組合ほたて総合加工場にて
現代の(ホタテ)貝塚(浜鬼志別シネシンコ付近)

前日感銘を受けた東浦大岬小学校前も1.5往復のおかげで再度通過することができる。昨晩気になってこのあたりのことを調べたところ、以前は峰岡などの集落がいくつかあったようだ。ただ、集団離村などで1970年前後には無住となった様子*4。この区間をバスが運行されるようになったのはここ10年の話なので、だからバス停が設置されていないということになろう。それにしてもこの区間の眺めは何度通っても良い。

宗谷岬にて
走行中のバスから見た日本最北端の地

宗谷地区からは4人が乗車してくる。今日は天気が良いのでサハリンが見えないかと目を凝らすが、この日も無理だった。ただ、宗谷中学校の先では遠く稚内の市街地が確認できた。風の強さもあってか、それくらいの視界はあるようだ。宗谷地区を過ぎてからはしばらく乗客はなく、次の利用者があったのは声問橋。このあたりからは稚内中心部まで人家が途切れずに並ぶようになる。潮見5丁目は道路右側にある転回場を経由する。待合室も立派で、この後何度もこの停留所行のバスを見かけたことから、稚内市内のバス運行の拠点となっているバス停のようだ。

稚内市街に入ると、遠くからやってきた利用者が各々の目的地で降車となり、バスは頻繁に停車するようになる。稚内駅へは山側から反時計回りで迂回してからの到着となった。稚内駅前ターミナルでは4人が降車した。



*1:札幌へも音威子府で枝幸発のバス(特急えさし号)に乗り換えることで到達可能。

*2:前日浜頓別ターミナルにて撮影。

*3:さらに書くと鬼志別ターミナルは内陸側にあるので、新生農場前からターミナルまでは2往復している。

*4:詳細は「日本の過疎地 稚内市峰岡」が詳しい。