2022.04.30-05.07 南から北へ232

江差からのバスが到着した熊石のバス停の前には、セダンタイプのタクシーが停まっていた。これが次に乗車する、大宮駅で予約を入れたバスである。

2022.05.01[Sun]
熊石17:15→宮野17:37~太田(行)*1
せたな町 檜山海岸線、¥200、17.4km

熊石にて
せたな町 太田行(手前)

2020年10月に函館バスによって運行されていた江差ターミナル~大成学校前間の路線が廃止となり、熊石までに短縮された。代替手段としてせたな町が用意したのが、今回乗車する予約バスだ。平日の初便および日祝日の便は前日の17時まで、それ以外は乗車の2時間前までに予約が必要だが、料金*2は1回200円と低額だ。前日予約を入れた際、「お帰りは?」「いえ、通り抜けなんで」「あ、そういうことね」みたいなやり取りがあったことを思い出す。なお、通り抜けが判明した時点で近隣住民ではないと判断されたのか、住所までは聞かれなかった*3

運行の委託先は東ハイヤー。予約バスはすでにドアを開いて待ち構えているので、すぐに乗り込んで氏名を伝え、目的地の宮野まで運んでもらう。「宮野はどちらまで」「北桧山行のバスに乗り継ぎたいんですけど」「承知しました」みたいな、タクシー同様のやり取りをしながら、夕陽に染まる海岸線を北上する。道は熊石行のバスの続きだが、これまでよりも集落の規模や家の数が薄くなっているような気がする。

この予約バス、現在は土曜日を含む平日に7往復、日祝日は4往復が設定されているが、実際は通学用途くらいでしか使われていないのではと悲観的な想像をしてしまう。乗車中に乗り合いになることなどもちろんなく、また宮野の先で他の予約が入っている風でもなさそうだった。つまりは快調に国道229号を進み、予定よりもずいぶん早く宮野へと到着した。降車場所は次に乗るバス停の前、便利なことこの上ないが、早着によって時間に余裕ができたので、路線バスがあったころのバス待合所を眺めに来た道を少し戻る。

宮野にて
宮野バス停待合所

予約バスで走行した区間では随所にこの形態の待合所を見かけた。割としっかりした作りのように見え、また塗装も劣化しているようには見えない。北桧山と大成を結ぶバスの宮野停留所にはどちらの方面にも待合所がないのに、路線バスの廃止された区間のバス停にだけ立派な待合所があるのは皮肉だ。ただ、ちょっと気になったのは待合所が大成方面の道路側に設置されていたこと。通常、より大きな街へ向かうバス停の方に待合所が設置されると思うが*4宮野はそれと異なっている点が気になった。もしかしたら大成方面への小中学生の通学を考慮した設置だったのかもしれないが確証はない*5

最後に余談だが、このバスはホテル佐多岬をスタートしてからちょうど200本目のバスとなる。節目のバスが予約制、しかもセダンのタクシーというのもなかなか趣がある話だ。


*1:いわゆるデマンドバスのため、太田までは行かなかったと思われる。

*2:せたな町の資料[pdf]では運賃ではなく料金であったため、それに従った。

*3:前述の資料には氏名、住所、目的地、何便に乗車したいかを伝えてくださいとある。

*4:実際、熊野宮野間では基本的に山側(すなわち江差方面)に待合所が多くあった。

*5:北桧山からやって来るバスの終点は大成学校前なので、宮野付近の子供は太田方面に通学していたのではと予想する。