元比田で折り返し待機中のバス
元比田は敦賀市の北の果てにある集落。ここから隣接する南越前町内のバス停まで歩く。
2024.04.30[Tue]
元比田《標高34.3m》…河野/徒歩、8.4km
雑草が茂る道
喫茶「翌檜」付近から北を望む*1
天候は小雨に戻っていた。そして風はなし。念のためザックカバーをつけてから歩き始める。集落もバス停も山の中腹にあるので、まずはしおかぜラインまで下降する。もちろん、この道は下見のときに確認した歩道だ。雑草で予想以上に足を濡らしてしまったが、喫茶「翌檜」*2の横を抜けて海岸沿いにある道路まで無事に降りられた。さて、ここから8.4kmを歩く*3。
歩き出しは道路右側(山側)を進む。これは計画時に「海側を歩いて潮を被ったら嫌だなあ」と考えて実行したことだが、しばらく歩いたのちに海側を歩くように変更した。道路の脇にはぽつぽつと小さな石が落ちている、まだそれはいい。そのうち山側から「コツコツコツコツ」と石が転がる音が時折聞こえてくるようになる。こうなるともうだめ、山側は歩けない*5。
南越前町へと入って大谷トンネルを抜けると、ルート上にある唯一の集落である大谷が見えてくる(が、ここから集落まで2kmある)。海岸沿いの道あるある、近くに見えるけど海岸線沿いのルートは直線ではないので、たどり着くには想像よりも時間がかかるパターンだ。集落の手前で道がカーブしていることをスイーパーとか言うんだろうな(大谷だけに)、なんて下らないことを考えたりもする。今回の徒歩行程はこれまでとは違い、時間には余裕があるのでのんびり歩を進めることも可能だが、小雨のうちに完了させたいと思うのも人の心。自然と足は速くなってしまう。
大谷バス停(バスは来ない)
文章上はすぐ着くが、もちろんしっかり2km歩いてやってきた大谷。写真奥の白い建物(大谷集会所)で時間を確認したところ11時12分、ここまでの距離はだいたい4kmくらいなのでペースは悪くない。写真からも分かるように大谷にバス停はあるものの、2023年より南越前町は路線バスを止めて「らくらくおでかけバス」という相乗りサービスに移行したため、ここにバスが来ることはない。利用するには要事前登録かつ要予約、後者はいいにしても前者の申込書の記入必須欄に「集落名:お住いの集落名をご記入ください。」の項目があったので利用を断念した。規約を読む限りでは利用条件に「南越前町の住民に限る」とは書かれていなかったが、「住民利用バス」とも謳っている乗り物なので、部外者が積極的に利用して良い乗り物ではなさそうだ。写真の大谷バス停も奥に見える大谷集会所も「らくらくおでかけバス」の指定停留所ではあるが、「バスじゃない、これはバスじゃないんだ」と自分自身に言い聞かせながら横を通過した。たぶん声に出ていたと思う。
雲と海と道
その後も延々と歩き続ける。けっこう先まで見渡せるせいで、海沿いの徒歩は体よりも先に心に来そうな気がする。車と遭遇する頻度は数分に1回ほど。他県ナンバーの方がマジョリティなのは時節柄(ゴールデンウィーク)でもあるし場所柄(観光道路)でもある。とにもかくにも黙々と歩くしかない。
目印になりそうな立派な松の木とロックシェッドがあったので時間を確認すると11時56分、時間的にはあと30~40分くらいのところまで来ているようだ。少々風雨が出てきたように感じるが、こんな苦行もあとちょっとで終わりのはず。このあたりからは海上を道路橋で通過したり*7、トンネルがいくつかあったりと変化が多く、天気さえよければ楽しく歩けそうなところだ。一方、ちょっと嫌な感じを受けたのは、道路にカント*8がついていて、これが徒歩者には優しくない点。カーブの外側だと体が傾くし、内側だと水たまりがある。元来しおかぜラインは有料道路で、徒歩で抜ける人がいることを想定してないのだろうとは思うけど、天気の悪さと蓄積した疲れも相まって、ルートの後半はあまり良い印象がなかった。
河野バス停
やがて「尼御前トンネル」を抜け「河野トンネル」に入ると、出口の先に信号が見えてきた。そして久しぶりの人の気配。ここまで来れば後ほんのちょっと。河野バス停には12時26分に到着。次のバスまで約1時間、余裕を持ってのフィニッシュとなった。昼食は近くの食堂で奮発したメニューを食べる。刺身が無茶苦茶美味しかった。
*1:ここを下りきったところに階段があって、下の道路まで降りられる。
*2:眺めの良い喫茶店。下見の際はここでモーニングをいただいた。
*3:元比田からしおかぜラインまではgoogle マイマップでルートを描けなかったため、距離はしおかぜライン上を開始地点として計測している。
*4:歩道(?)の延長線上に見える標柱は南越前町との境界を示すもの。奥に見えるトンネルは大谷トンネル。
*5:なお、google マイマップ上ではそんな機敏な表現ができなかったため、しおかぜラインはずっと山側を歩いたことになっている。
*8:道路のカーブなどで内側よりも外側を高くすること。wikipedia:カント (路線)が詳しい(鉄道のことしか書いてないけど)。