
田口バス停と2025年の政党ポスター
「上・京・物・語」もそろそろ静岡県に入ろうかとしている。これから向かう愛知県と静岡県の県境には、2025年9月時点で県境を越えて走る路線バスがないため、徒歩による通過が必要だ。そのため、今回ルート検討に費やした時間が一番多かった区間でもある。せっかくなので、検討したルートをここに残しておこうと思う。調査の前提としては、新城に月曜日泊・火曜日に県境を越える想定で、実施時期は2025年9月段階ということをあらかじめご了承いただきたい。また、愛知→静岡方向のみの検討であるため、逆方向だとここの評価とは異なる可能性もある。なお、距離は Google 調べとなる。
①豊橋市~湖西市ルート
a.豊橋駅前→(豊鉄バス 二川線)→大脇 or シンフォニアテクノロジー…(徒歩2.8~2.9km)…新所原駅→(湖西市 コーちゃんバス 岡崎鷲津線 or 岡崎太田鷲津線)→鷲津方面
海側から順に紹介していく。まずは豊橋市から湖西市へ入るコース。東海道を路線バスで乗り継ぐ界隈(?)では知名度の高いシンフォニアテクノロジーというバス停を経由するルートだ*1。東海道コースでバス乗り継ぎを行う方が良く通過するルートでもある。よくあるルートということで当初はこれを想定していた。
豊鉄バス二川線は1時間に1本程度運行されており、また徒歩となる県境越えの区間は(他のコースと比較して)平坦で距離もそれほど長くもないという選びやすいルートではあるが、ネックなのはコーちゃんバスが平日のみ運行(土日祝と年末年始は運休)な点。さらに、静岡県側の湖西市から浜松市へ行けるバスもないため、そこでも徒歩が発生する点もデメリットだ。
湖西~浜松について深掘りしていくと、新居町駅~馬郡車庫(浜松駅行の遠鉄バスが出発する)で5.5km、それに数百メートル加えれば舞阪駅(こちらも浜松駅行の遠鉄バスがある)にも届くが、そこそこ距離のある歩きとなり、むしろ県境越えよりも長距離の徒歩が必要になる。徒歩距離を少しでも縮めるには、新居町駅ではなくみなと運動公園で降車すれば200mほど短縮できるが、新居町駅~みなと運動公園のバス移動にかかる時間は約10分なので*2、新居町駅から歩いたほうが時間的には早いだろう。なお、新居町駅~馬郡車庫間にはコーちゃんバスの新弁天バス停があるにはあるのだが、このバス停を経由するバスは1日1本のみ、しかも通過時刻は7時25分なので、当方の通過タイミング的に利用不可であった。ちなみに新弁天から馬郡車庫までの距離は3kmとなっている。
新弁天バス停
また地図は割愛するが、湖西市北部の横山会館から三ヶ日方面へも抜けられそうな雰囲気がある。しかし、横山会館バス停は到着便のないバス停のため、手前の知波田駅から4.6km(リステル浜名湖)~4.8km(瀬戸)を歩く必要があり、さらに乗り継ぎ先のオレンジふれあいバス南線は1日3本と利用難易度は高く、今回通過する時間帯にいい塩梅で乗り継げるものはなかった。
湖西~浜松間のことばかりになってしまったので、話を県境区間に戻す。冒頭では二川線の終点であるシンフォニアテクノロジーから歩くように書いているが、実際は2つ手前の大脇バス停で降車して新所原駅北口へ歩いたほうが100mくらい歩く距離は短くなる。ただ、自分は短縮できる距離がそれくらいならバスは終点まで乗り続けたいタイプ*3なので、ここではシンフォニアテクノロジーを経由するルートを主で取り上げている。「バスに乗るのが目的」だしね*4。
二川線には1日に1本だけシンフォニアテクノロジーよりも先、一里山(15:54着)まで進むバスがあり、ここからコーちゃんバスの境宿公会堂までは900mで徒歩連絡が可能だ。1日1本とはいえ長い時間バスに乗れる良いルートのようにも思えるが、境宿公会堂から先のバスはこの時間すでに終了しており、コーちゃんバスの結節点であるJA白須賀支店*5まで歩いたとしても*6、こちらの終バスも出発済なので活用は難しい。
また、前述の大脇バス停よりも若干県境より(大脇から見て北東方向)に東海大会ホール前という停留所があり*7、イベント開催時には二川駅からバスが出るそうだが、宗教関係の施設であるためタイミングが合ったとしても利用には躊躇しそうだ。
なお、豊橋~湖西では、他に豊鉄バス飯村岩崎線の多米東町二丁目などで降りて、知波田駅でコーちゃんバスの知波田入出線に乗るというルートも可能ではあるが、7kmの徒歩と歩道のないトンネル(多米トンネル*8*9)を抜ける必要があるので避けた方が良さそうだ。
多米トンネル愛知県側坑口
②豊橋市~浜松市三ヶ日地区ルート
b.豊橋駅前→(豊鉄バス 豊橋和田辻線)→嵩山…(徒歩3.2km)…本坂→(浜松市 三ヶ日オレンジふれあいバス)→三ヶ日市街地→(遠鉄バス 気賀三ヶ日線)→浜松駅
c.豊橋駅前→(豊鉄バス 豊橋和田辻線)→嵩山…(徒歩6.7km)…三ヶ日車庫→(遠鉄バス 気賀三ヶ日線)→浜松駅
続いては豊鉄バス豊橋和田辻線の終点(の1つ)である嵩山(すせ)バス停で降りて、国道362号の本坂トンネルを抜けるコース。本坂トンネルは国道のトンネルということもあってか、①で紹介した多米トンネルとは違って歩道があるトンネルなので通り抜けの不安はなさそうだ。また、嵩山のバス停もトンネル直近にあるため、歩き区間の上りはほぼなく下り主体となるため身体負荷が抑えられ、また①と違って静岡県内の市境越え徒歩区間もなく浜松駅までの歩きは県境のみという優しいルートだ。ただ、ネックになるのが静岡県側の乗り継ぎ先である三ヶ日オレンジふれあいバス。県境を越えて徒歩で乗り継ぐなんて想定はするわけがないので当たり前なのだが、嵩山から乗り継ごうとすると時間がかみ合わない。経路途中や付近に喫茶店でもあればよいのだが、そういった施設はもちろんコンビニすらもなく、何もないところで長時間の乗り継ぎ待ちが発生する点が辛い。
乗り継ぎ待ちを避けるため、遠鉄バスの三ヶ日車庫まで歩くと6.7kmとなるが、これだと三ヶ日オレンジふれあいバスを1時間待つなら歩いたほうが早いということになってしまう。ただ、これによりふれあいバスに触れ合えなくなり、バスに乗りたい人にとっては後ろ髪を引かれる思いだ。一方、三ヶ日オレンジふれあいバスを端折ることによるメリットももちろんあって、三ヶ日車庫まで歩き通すことで浜松駅には12時過ぎに着くことができる。この点だけでも他のルートより優位性はあり、先の乗り継ぎ状況によっては有力な選択肢となり得る。
本坂トンネル愛知県側坑口
d.豊川駅東口→(豊橋市 柿の里バス)→中山中央…(徒歩山道5km)*10…本坂→(浜松市 三ヶ日オレンジふれあいバス 北線)→三ヶ日市街地方面
どうしてもオレンジふれあいバスを活用できないかという想いが高まって、他のルートも検討してみた(本坂より先はルートbと同じ)。だが、国土地理院の地形図で書かれている徒歩道は5km*11、これを1時間弱で進む必要があってなかなか厳しいし、Google マップ上でルートを描けない時点で(どんなカテゴリーか分からないけど)上級者向け過ぎるルートになる。時間的に余裕のあるパターンもあるが、それだと浜松駅への到着が遅めとなるデメリットもあるし、一度も歩いたことのない山道を迷わずに進む自信などない*12。もしかしたら三ヶ日のコミュニティバスはバス好きに仕掛けられた罠なのかもしれない、なんて思うくらいだ。
③新城市~浜松市三ヶ日地区ルート
e.新城市街地→(新城市 Sバス やな線)→富岡ふるさと会館 or 西門沢橋…(徒歩5.7~6.2km)*13…長根コミュニティ防災センター→(浜松市 三ヶ日オレンジふれあいバス 北線)→三ヶ日市街地→(遠鉄バス 気賀三ヶ日線)→浜松駅
三ヶ日オレンジふれあいバスに乗れるルートは新城からも可能だ。新城泊だと朝の出発ものんびりできて良い感じではある。ただ、歩きの区間は峠越えで、トンネルなしで標高154mの売利峠を越えなくてはならないのはまあまあヘビーだ*14。峠区間は国道301号だがちゃんとした歩道はないのも不安要素で、経路中にコンビニがないのは前述の豊橋~三ヶ日ルートと同様、さらには長根コミュニティ防災センターでの待ち時間もけっこうあるルートとなっている。やはり三ヶ日車庫まで歩いて直接遠鉄バスに乗った方が幸せかもしれない*15。
ちなみに、新城市のSバスの降車バス停候補が複数あるのは、予約の要不要の違い。予約なしなら富岡ふるさと会館までの乗車となるが、予約すれば西門沢橋まで行くことができる。ただ、西門沢橋より南側(山寄り)にもバス停はあるので(西門沢や西門沢西)、そちらの方が歩く距離を減らすことができるかもしれないが、降車場所の詳細な位置が確定できなかったため、ここでは予約時の降車場所を西門沢橋としている。
西門沢橋
④新城市~浜松市引佐地区ルート
f.新城市街地→(豊鉄バス 田口新城線)→本長篠駅前→(新城市 Sバス 長篠山吉田線)→黄柳野橋…(徒歩7.5km)…尾沢→(遠鉄バス 奥山線)→浜松駅
続いては新城から引佐方面への山越えだ。海から離れるにしたがって麓のバス停と峠との標高差も大きくなり、黄柳野橋(つげのばし)と陣座峠の標高差は約120mほどある。また、歩行距離も長くなる傾向にはあるが、豊橋~湖西ルートでは湖西~浜松間でも歩く必要があるため、総歩行距離では豊橋~湖西ルートよりも1kmほど少なくはなる。本長篠駅前を午前中に出発した場合、このルートは歩く時間と次のバスの出発時刻が絶妙に良かったので、豊橋~湖西ルートの次に選択肢に入れていたルートでもある。そういったこともあって、長篠山吉田線も奥山線もあとちょっとで終点なのにもかかわらず、途中バス停での乗降となっている点が個人的には消化不良感がある。ちなみに目的地を奥山バス停にすると陣座峠以降の経路が一部ダートの林道経由に変わる。歩行距離は100mほどしか変わらないので、時間に追われてないのなら林道経由で方広寺を参拝してからバスに乗るのも良さそうだ。
g.新城市街地→(豊鉄バス 田口新城線)→本長篠駅前→(新城市 Sバス 長篠山吉田線)→農協前…(徒歩4.3km)…竹平→(浜松市 いなさみどりバス つつじ線)→浜松湖北高校→(遠鉄バス 引佐線)→浜松駅
新城~引佐間にはもう一つ、国道257号で県境を越えていくルートがある。峠には歩道つきのトンネルもあり歩行距離も良心的だが、いなさみどりバスは夕方に2本のみ(反対方向は朝1本のみ)かつ予約必須のバスだ。ちなみに2023年の9月までは新城市のSバスがこの県境を越えており、その時代なら徒歩不要で県境を越えることができていた。なお、このルートであれば新城に宿泊せずしてその日のうちに浜松へたどり着ける唯一のルートでもある。ただ、夜間帯の乗車となること、および竹平と浜松湖北高校で計2時間半近く待ちが発生することから、今回は有力な候補とはならなかった。
かつてのSバス 竹平バス停(2023年9月)
余談となるが、時計の針をさらに2022年9月まで戻すと、伊平というところまで遠鉄バスの路線があり、これを利用すれば予約なしでも竹平…伊平(5km)の徒歩で直接遠鉄バスに乗り継げたようだ*16。なお、路線廃止を記録したブログがあったので以下でリンクしておく。
かつての伊平バス停(2021年8月)
話を現在の新城市のSバスまで戻す。徒歩開始地点である山吉田地区には農協前よりももっと引佐に近い柿本城跡バス停が存在する。ただこのバス停、本長篠からのSバスは往路では経由せず復路のみ通過するため、上記の経路では記載しなかった。ちなみに柿本城跡で降車すれば600mほど徒歩距離を削減できるが、30分くらい余計にバスに乗り続ける必要がある……ん? いやいや楽しそうな話じゃないか。バスに乗り続けて柿本城跡で降車、全然ありだと思う。
⑤東栄町~浜松市佐久間地区ルート
h.田口→(おでかけ北設 東栄設楽線)→本郷→(おでかけ北設 東栄まちなか線)→横引…(徒歩4.3km)…出馬駅→(浜松市 佐久間ふれあいバス 浦川方面線)→佐久間市街地
これが愛知・静岡県境移動で想定した最上流部となる。新城泊の場合、横引でなく終点の東栄駅前までバスを乗り通しJR飯田線で宿まで行き、翌日また電車で戻ってくる経路で検討していた。このルートの利点は山間部にありながら川沿いに歩くため、峠越えのようなアップダウンがそれほどない点。また、利用する曜日(月・水)によっては、徒歩距離がわずか500mとなる川上歓迎塔バス停から佐久間ふれあいバスが利用できるというのもある*17。今回、ここの通過は火曜日となったため、このルートが採用となった場合は出馬駅まで約4.3kmを歩くことになるが、曜日のタイミングが合えば県境越え最短の徒歩連絡となっただろう。
なお、乗り継ぎ先の佐久間ふれあいバスはは浜松市の運営ではあるが、愛称に「佐久間」とあることからも分かるように、乗車するとさらに奥地の佐久間まで運ばれてしまう。ただ、佐久間以降は予約バスなどを乗り継ぐことで西鹿島駅に抜けられるので、そこから磐田へ出れば浜松駅からのルートに集束する。浜松市を通過するにもかかわらず駅前の大きなバスターミナルを経由しないルートとなるのも一興だ。
まとめ
というわけで、5パターン8経路を検討した。このうち a. f. g. あたりは、東海道を路線バス乗り継ぎで通過する人たちが採用するルートとしてネット上で見かけたことのあるものだ。面白さで言うならそれ以外を試したいというのが本音だが、ダイヤ変更や路線廃止などで実行した当時とはずいぶん様子が変わっているルートもあるので、それも気になるところ。もっと言えば、検討した以上どれも乗ってみたいルートになっていたりもする。さて、どうしたものか*18。
*1:東海道新幹線が近くを走行するため、シンフォニアテクノロジーの社名は新幹線利用者にも知られているに違いない。
*3:前述の新居町駅 vs みなと運動公園なら、みなと運動公園まで乗車し続けたい派だ。
*4:なお、乗り継ぎ先のコーちゃんバスが岡崎太田鷲津線の場合は乗車バス停が新所原駅北口となるので大脇に分があり、岡崎鷲津線や白須賀岡崎線に乗車する場合は新所原駅南口を経由するバスとなるのでシンフォニアテクノロジーが(駅の自由通路を越えなくてよい分)楽なんじゃないかと思っている。
*5:境宿公会堂の新所原駅方面だけでなく、鷲津駅方面へのバスも発着している。
*6:ちなみに徒歩距離は1.6kmとなる。
*7:詳細な位置は一番最初の図を参照。
*8:貫通時の動画がYouTubeにあったのでリンクしておく。
*9:ちなみに「多米トンネル」で検索すると、「心霊」なんて単語が並ぶトンネルでもある。
*10:Google マップでは経路計測・経路指定ができなかったため、バスルートによって徒歩距離を計測した。
*11:この距離は嵩山~本坂を本坂峠経由で進むのとほぼ同じ。
*12:そもそもこういった低山の山道は枝道が多く分岐していて、それに誘われて遭難みたいなケースもけっこう聞く話だ。
*13:Google マップでは国道301号の一部が徒歩通行不可となっているため、若干の遠回りが発生している。このため、実際の歩行距離はこれよりも数百メートル短いと思われる。
*14:ただし、富岡ふるさと会館と峠の標高差は85mほど。
*15:この場合、富岡ふるさと会館からの距離は8.4kmとなる。
*16:ただし、浜松方面行の終バスが16時台と早い時間だったので、3年前に同じルートをたどっていたとしても新城泊は必要だったようだ。
*17:ただしそんな川上歓迎塔バス停、Google ストリートビューでは存在が確認できなかった。
*18:と書いてはいるが、実際のルートは出発前にほぼ確定済だったりする。