富山県境を越えて走る路線バス 2(長野県境編)

  • 2024.12.02:写真を追加

前回の記事の続き。今回は富山-長野県境を越えるバス路線だが、この間に一般道はないため、特殊な路線バスだけが県境を行き来している。

関西電力 関電トンネル電気バス

:電気バス車内よりtitle=富山-長野県境通過直前の電気バス
富山-長野県境通過直前の電気バス*1

富山と長野の両県にまたがる唯一の車道が関電トンネルだが、一般車は通行できず、関西電力の運行する電気バスが両県を直接繋ぐ唯一の公共交通機関となる。いわゆる「立山黒部アルペンルート」の一端をなしている区間でもあり、ハイシーズンには相当混雑する路線だ。実はこの記事を書くまで、トロリーバス時代に1度だけしか利用したことがなかったので*2、2024年11月に訪問して写真を撮ってきた*3扇沢付近の一部以外はすべてトンネル内にあるのであまり面白味はない路線だが、県境越えのバス路線ということで自分の関心の対象となっている。

停留所に通じるトンネル入口の看板
黒部ダム駅入口1

路面に書かれた駅入口
黒部ダム駅入口2

黒部ダム駅
黒部ダム

アルペンルートということで冬季の運行はないが、今回のシリーズで取り上げるバスの中では運行本数が最も多いので、利用のハードルは低いように思える。が、それはアルペンルートを普通に抜けた場合。路線バスだけでアルペンルートを抜けたい場合には難易度が一気に上がってくる。……そんなこと考えるのはごく一部のバス好きくらいだとは思うけど、少なくとも自分はそんなルートが可能かどうかを考えたことがある。良い機会なので以下で触れておく。

アルペンルートはいくつかの乗り物を乗り継いで山を越えていくため、ルートの途中にはロープウェイやケーブルカーが存在する。ただ、これらはバスではないので、なるべくなら避けて通過したい。この場合、室堂から先、黒部ダムまでを徒歩で繋ぐ必要があるが、この区間の徒歩はもちろん登山道だ。YAMAPのコースタイムを見ると室堂~一ノ越~黒部ダムは休憩なしで約6時間*4。時季によってはルート上にある雪渓を横断する必要もあり、現状では登山素人の自分が踏み込める場所ではない*5。なので、もし実行するとしたらちゃんと体力づくりをして、必要な道具を揃えたうえでの挑戦になるだろう。なお、本当にこれを実行するなら、夏季に運行がある富山-室堂線(地鉄バス)で室堂に入って*6、室堂からは延々と歩いて黒部ダムへ向かってバスに乗り継ぐというルートになる、黒部ダム発の最終便は17:35なので、室堂~黒部ダム間に8時間半を使えることになる。体力さえあれば何とかなりそうな気がする。

扇沢ターミナル
扇沢ターミナル

最後に余談だが、かつては室堂~大観峰間のトロリーバス*7に途中駅*8「雷殿」があり、そこから東一ノ越~黒部平の登山道の途中に出られたらしい。ずいぶん前に登山道が崩落して雷殿駅も長期休止の上で2013年に廃止されたとのことだが、もしこのルートが今も使えたのなら徒歩区間が2時間くらいは減らせたようで、ちょっと残念ではある。

立山東側斜面に坑口が見える
立山ロープウェイから見た旧雷殿駅出口


*1:トンネル側面にある黄色の掲示が県境を示している。

*2:そのときは宇奈月温泉から欅平・高熱隧道を通過する「黒部宇奈月キャニオンルート」を抜けて黒部ダムにやってきた(某ユーザー会のイベントで訪問)。

*3:ちなみにこのときの訪問まで、アルペンルートを通過したことすらなかった。

*4:反対方向の場合、黒部ダム~一ノ越の上りがきついのでさらに1時間ほど余計にかかるようだ。

*5:高校時代は登山部に所属したこともあったので、それくらいの分別はある。

*6:2024年のダイヤだと、富山駅前6:30→室堂9:00。

*7:2025年以降は電気バスに置き換えとなる。

*8:トロリーバスは法令上軌道法(現在は鉄道事業法)で定められた交通機関であるためか「駅」を名乗っているようだ。