2022.04.30-05.07 南から北へ254

名寄駅
早朝の名寄駅

5月5日はこどもの日、バスでの移動は6日目となる。天気は晴れ、そして寒い。ホテル前に停めてあった車のフロントガラスの霜は凍っていた。もちろん吐く息は真っ白だ。今回、北海道は寒いだろうとドカジャンを着ていったが、暑いと感じたのは新幹線の中くらいで、道内では非常に重宝した。特にこの日の朝は冷え込みが顕著だったので*1、暖かったら荷物になるからと迷ったものの持参したのは正解だった。

人の気配がない待合所
早朝の名寄駅前交流プラザ「よろーな」バス待合所

駅に隣接している、バス待合所が併設された駅前交流プラザ「よろーな」は、さすがに窓口は閉鎖していたものの待合室は開放されていた*2。暖房が効いていて居心地は非常に良い。ただし、5時半過ぎから30分弱ほど付近にいたものの、利用者は自分以外に見かけなかった。

行き先として「興部」「下川」「恩根内」「風連」が書かれている
名寄駅前バス停

予定では本日中に「南から北へ」の目的地である宗谷岬バス停に到着する。そこまでの行程となるバスはほとんどが廃止された鉄道の代替バスだ。昨日最後に乗ったバスもそうだったので、深川から先はほぼ鉄道代替バスということになる。まずは興部まで、そんなバスで進む。

2022.05.05[Thu]
市立病院前(発)~名寄駅前05:56→興部07:25
名士バス 興部線、¥1,790、69.3km

名寄駅前にて
名士バス 興部行

名士バスは前乗前降だった。このパターンは久しぶりなのでちょっとだけ慌ててしまう。すでに2人が乗車していたが、1人は実習中と思われる運転士の教官だったので、乗客2人で名寄駅前を出る。車内では中ドア部分に鎖が渡してあった。外の寒さは格別だが、バスの中は暖房も効いているのでいい塩梅。天候は初日以来久々の上天気だ。基本的には東へ向かって走るので、運転士は眩しいことこの上ないだろうが、外を眺めるには申し分のない快晴だ。

2本の鎖で塞がれている
名士バスの閉鎖された中扉

名寄の街を出ると、田畑が広がる農村地帯となる。山は緩やかで険しさがなく、外を眺めているとゆったりした気持ちになる。名寄方面のバス停のほぼすべてに待合所が併設されている。ここに限らない話だが、北海道のバスはどこもこういった設備が手厚いと思う*3。北海道らしい名称の中名寄1線といったバス停から、数字が順に繰り上がるさまを見てどこまで進むのか気にしていたら、11線以降は上名寄に、21線以降は西町へと地名を変えて進んだ。この辺の機序を知りたいところだが、バス停を眺めていただけでは皆目見当もつかない。

手前は畑、奥には雪を被った山が見える
名士バスの車窓から(上名寄17線付近)

自分以外の唯一の乗客が住宅前で降りてしまい、乗客1人となって下川バスターミナルへ。ちょっと寄り道して経由したところを見ると、下川駅跡なんだろうと容易に想像がつくくらいには慣れてきた、というか擦れてきつつある。下川ではしばらくの停車が入る。名寄からここ止まりのバスも運行されており、ここまではバスを利用する人も多いのだろう。さすがに祝日の朝一番の下りバスの利用者はこんなものだろうけど。

下川バスターミナルを出発すると次のバス停が25線、先ほど西町22線でいったん止んだ「~線バス停」が復活する。下川以前は地名が頭についていたが、以降は地名なしの状態となり、断続的に40線まで続いた。また、ごくまれに乗客がいなくても通過せずいったん停車するバス停(例えば一の橋宇津小学校など、バスターミナルではないところでもそうだった)があった。一番可能性が高いのは時間調整だが*4、一時停止するバス停は廃線となった名寄本線の駅があった場所ばかりなので、以前駅があったところは必ず一旦停車する運用、といった説を提唱したい。まあ、妄想に近い話ではある。

そんな一の橋を過ぎると、次のバス停である行者の滝入口までの運賃が310円と表示される。坂はそれほどきつくはないが、峠越えの無住地帯へと入る。緩やかな坂を登りつめると天北峠、分水嶺の先は西興部村だ。峠は名寄と興部のほぼ中間付近にあり、これ以降は何かと「興部」や「興」のついたバス停ばかりとなる*5。ちなみに峠の気温は-1℃と表示されていた。路面はドライだが、5月の連休に氷点下とは恐ろしい。

峠を越えると名寄本線廃線跡と思われる築堤などが確認できるようになる。下川からの上りよりも興部への下りの方が斜面が急なのは、海に向かっているからだろう。バスの車内から海を見るのは登別から乗ったバス以来となる。しかも今度はこれまで見たことのないオホーツク海、楽しみだ。

人家が増えてきた興栄ファーム前付近で名寄行の一番バスとすれ違う。あちらは興部を6時10分に出発、こちらは市民病院前を5時48分に出発しているので、さきほどの峠付近が中間地点なのは間違いなさそうだ。その後は終点の興部まで「興」のつくバス停と末尾に「牧場前」がつくバス停ばかりを通過していくようになるが、地名が尽きたのか、それともバス停名の由来となっていた牧場主が廃業したのか、ついに東興166番地なる番地バス停が現れたのには驚いた。バス停名が番地というのは今まで見たことがない。北海道のバスはこちらの想像を超えてくる。


東興166番地バス停

興部側の利用者は西興部からの1人だけで終点の興部に到着する。さすがに名士バスからはオホーツク海を眺められなかったが、次のバスなら飽きるほど眺められるだろう。

興部バス停で縦列停車するバス2台
名士バス到着直後の興部バス停*6


*1:この日の夜に泊まった宿のおかみさんから、朝は雪が舞っていたとも聞いている。

*2:また、バス出発の数分前には自動放送による案内もあった。

*3:もちろん、厳冬のブリザードの中でバスを待つには必須の設備だというのは承知の上だ。

*4:ただ、しばらく停車するようなことはなく、一旦停止後に出発といったパターンだったので、時間調整説も怪しいところはある。

*5:対照的に「~線バス停」はわずか1つ(六興4線)にまで激減する。

*6:手前が名士バス、前方のバスは名士バスに接続する紋別行の北紋バス