2022.04.30-05.07 南から北へ238

4日目。火曜日だが祝日だ。昨晩、ここから先で想定していた3つのルート(神威岬~小樽*1、然別~小樽*2、室蘭~苫小牧*3)のどれで進むか考えたが、近々一部区間が廃止される可能性がある*4*5胆振線ルートで抜けることにした。

倶知安駅前にて
道南バス 主要路線図

ちょっと心配なのは、前段の注釈でも触れたように、室蘭~苫小牧経由のルートで進む場合は10分前後の乗り継ぎが2か所ある点。これまでの経験から、15分以内の乗り継ぎは失敗する可能性が少なからずある、と考えていたので、それが2か所というのはけっこうな不安要素だ*6。ただ、乗り継ぎに失敗したとしても(遅い時間にはなるが)この日の宿にたどり着けなくなるわけではない。まあ、何とかなるだろう、と考えてこのルートにした。

倶知安駅前にて
倶知安駅道南バス待合所

ということで、これから乗るのは道南バス昨日到着したニセコバスのバス停とは駅前ロータリーを挟んで反対側、長万部側にあるターミナルへと向かう。待合所や屋根つきの車庫もある立派なターミナルだ。「道南」というと函館方面のイメージだが、道南バスの営業エリアは倶知安や豊浦から日高地方にわたる太平洋沿岸となっている。つまり、今日は1日の大半を道南バスの営業エリアで過ごすことになる。

「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」とある
ぐるーり道南フリーパス

このため、道南バスの1日フリーパスを購入した。事前に計算した感じでは、フリーパスよりも3,000円と1,000円の磁気カードを買った方が若干安いことは把握していたが*7、フリーパスなら降車の際に見せるだけで済む、という大きなメリットがある。倶知安の営業所はまだ営業時間外のようだったが、話をすると販売可能とのことなので1日分のフリーパスを購入。これで小銭の用意やカード読み取り装置を通したりする手間から解放され*8、値段以上の便利さを得た気がする。

2022.05.03[Tue]
倶知安駅前07:05→伊達市役所前09:21~伊達駅前(行)
道南バス、¥1,760、87.6km

俱知安駅前にて
道南バス 伊達駅前行

出発5分前にバスがやってきたのでさっそく乗り込むと、乗客は自分だけで倶知安駅を出発する。昨日に引き続いて天候は良くない。視界はそこそこあるが、空を覆う雲は低く厚い。町を出ると東に向けてまっすぐに延びる国道276号で進む。伊達市に入るまでは基本この国道とともに行くことになる。天気が良ければ南側に羊蹄山が眺められるはずだが、見えるのは裾野くらい。残念だ。


残念ながら見えなかった羊蹄山

寒別の手前で直線も終わり、若干のワインディングとアップダウンが出てくるようになる。再び道が直線になると京極の市街地。京極バスターミナルは定刻で通過となる。つまり、乗客はいまだ自分だけだ。京極の次の街は喜茂別。このあたりから日差しが差し込むようにはなるが、相変わらず羊蹄山方面の雲は厚く、頂を見ることはできない。京極~喜茂別間は尻別川沿いに進む。雪解けの季節ということで水量は多く、河川敷に生えた樹木の足元を洗うように冷たい水が流れていた。

喜茂別バス停はターミナル的な施設はなく、国道340号の道路の両側にバス停とちいさな待合所があるだけだ。倶知安から来たバスはきもべつ観光協会まで進み、その敷地を利用して転回ののち喜茂別到着となる。バス停に待っている人がいたのでドアが開放されるが、乗車の意思がないためにすぐに出発となる*9。ということで、無論乗客に変化はない、ひとりだ。


喜茂別のバス転回場

乗客もなく淡々と流れる次のバス停の案内を聞いているうち、一つ気づいたことがある。それは、たいていの路線バスは「次は~です」とバス停の案内をした後に「バスは急ブレーキをかける場合もありますので、お立ちの方はつり革や手すりにおつかまりください」みたいな案内を流すのが常だが、道南バスでは先に注意事項を流した後にバス停の案内を流していること。思い出してみると、昨日乗ったニセコバスもそうだった気がする。この地域はそういう風習なのかななんて思ったが、バス停間の短い都市部のバス会社では、この順番は難しそうだと気づいた。バス停間の距離が長い路線ならではなのかもしれない。

尻別の先で国道230号を左折し、再度国道276号の単独区間になって尻別川の上流を目指す。このあたりから車窓に旧胆振線廃線跡が確認できるようなる。すでになくなった施設の名称を名乗ったままのバス停、例えば森林組合苗場前とか旧双葉小学校が現れ出し、おまけに福里あたりからは雨が降り出してきた。個人的には雨に煙るこのあたりの風景を魅力的に感じたが、存廃論議のある区間ということを思い出し、その後は少しだけ切ない景色に見えてきた。

日の出を超えると喜茂別町の集落も終わり、直後に渡った尻別川の橋付近で伊達市へと入り、その先は峠越えの道となる。乗客はいまだひとりのまま。さすがに大滝まで行けば誰か乗ってくるだろう、なんて思っていると、周囲には人家のない三階滝入口で1人乗ってきた*10。登山の格好だったので、どこかの山に登ったあとの利用のようだが、朝早い時間ということもあってちょっとドキッとする。ただ、しばらく行くと人家が見えてきて大滝に到着。ここでトイレ休憩が入り、また地元の方と思われる乗車もあった。

大滝にて
大滝バス停と伊達駅前行

伊達市になって集落が増えてくるようになっても、まだ街へはだいぶ距離があるようで、バスは狭い谷に振り回される道に従ってゆっくり下っていく。大滝地区では胆振線廃線跡が再度確認できるようになり、一部区間では線路跡に桜が植えられていて、ちょうど咲き始めた感じの濃いピンクが山に映えていた。白絹の床久保内で乗客を増やし、正面に昭和新山が見えてくると壮瞥役場前にちょっと寄り道する。このあたりで雨はやみ、また平らな部分も増えてきて視界が広がっていく。

長和付近で左折すると、やがて伊達の市街地が見えてくるようになる。こういった長距離路線に乗ったときは、どうしても始発バス停から終点まで乗り通したい衝動に襲われるが、それだと次のバスには乗り継げない*11。後ろ髪を引かれる思いだが、途中の伊達市役所前で降車する*12。2分ほど遅れての到着だが、待ち時間11分の次の乗り継ぎへの影響はない。まずは1つ目の関門をクリアする。

ちなみに、伊達市役所前の待合室にあった迂回運行の通知によると、街路整備事業のためにバスの運行経路が変更になっているとのことで、もしこのことがなければ伊達駅前で乗り継げる時刻なんだろうなと想像した。

伊達市街路整備事業による迂回運行の案内
長期通行規制に伴う迂回運行について


*1:神威岬を回って小樽、札幌と抜けるルート。どんなに乗り継ぎがうまくいったとしても、その日の宿の到着は23時近くなる。

*2:神威岬をショートカットして小樽、札幌へと抜ける。明るいうちに宿に着けそうだが、他のルートに比べると面白味が少なそう。

*3:うまく乗り継げれば21時には宿に着くが、どこかでつまづいたら神威岬経由と同じ到着時間となるリスクも。

*4:北海道新聞旧胆振線代替バス・喜茂別―大滝間の廃止検討 利用低迷で喜茂別町長表明」の記事で知った。

*5:なお、この件に関するアンケートをバスの待合所でやっていた。

*6:このため、タイトな乗り継ぎが必要な場合、乗り遅れした場合のルート案も計画段階で別途立ててはいる。

*7:道南バスを計画通り利用すると運賃は4,420円となり、磁気カードなら4,000円で4,450円分が利用可能。一方、フリーパスは4,200円と若干高くなる。

*8:なお、道南バスは他にPay Payとau PayのQRコード決済にも対応している。

*9:おそらく直後に出る留寿都行のバス(8:00発)を待っていたんだと思う。

*10:なお、このあたりで国道276号から国道453号に移っている。

*11:このバスの伊達駅前到着予定時刻は9:29だが、次に乗るバスの発車時刻は4分前の9:25となっている。

*12:1つ前の日赤前で降りても良いのだが、降車バス停と乗り継ぐ先のバス停が離れていたので、伊達市役所前で乗り換えることにした。