2021.04.11 黒部宇奈月温泉駅を発着する乗合タクシー1

新幹線利用者向けに運行されている乗合タクシーに乗ってきた。今回乗車した2路線はどちらも事前予約が必要であり、路線バスというカテゴリーからは外れるものかもしれないが、出発/到着時刻が設定されていて料金も定額設定されている点をみれば、路線バス的と言えなくもない。せっかくなので記録しておく*1

黒部宇奈月温泉駅を発着する乗合タクシーは、魚津市方面の「おもてなし魚津直行便」と朝日町方面の「あさひまちエクスプレス」の2路線がある。以前はもう1路線、入善町へ向かう「入善新幹線ライナー」というのもあったが、2020年12月末をもって廃止となっている*2。廃止済には乗れないので、今回は魚津と朝日をターゲットとした。

可能なら現地へは新幹線で向かいたいところだが、予算的な都合と乗り継ぎの便利さから在来線で訪問した。なお、予約はどちらもネットを通して事前に行った。ちなみに魚津市の場合は乗車の1月前~2時間前、朝日町は1週間前~1時間前までと、路線によって予約可能な期間が異なるので、利用の際は注意だ。

魚津駅前にて
魚津駅前ロータリーと地鉄バス東蔵

14時半にあいの風とやま鉄道で魚津へ到着、まだ15分あると思って、のんびり地鉄のバス停やバスの写真を撮ったりしていたが、すでにタクシーは到着済だった。慌てて乗り場へと向かう。

2021.04.11[Sun]
魚津駅14:45→黒部宇奈月温泉駅15:10
魚津市 おもてなし魚津直行便(魚11便)、¥1,000、10.2km

魚津駅にて
魚津市 おもてなし魚津直行便 黒部宇奈月温泉駅

待機していたのは魚津交通の車だった*3。後部に車いすを積み込めるようになっていたので、いわゆる福祉車両タイプの車、日産NV200バネットだろうか。運転士に声をかけると名前を確認したのちに「おひとり様なので時間前ですが出発します」と言われて10分前だが出発となる。まあ、2時間前までの予約制なので、路線バスではNGである早発も可能なのだろう。運賃は前払いだった。この辺は通常のタクシーと違っていて少々戸惑うが、固定料金だから先払いということなのかもしれない。

おもてなし魚津直行便、愛称「おもタク」*4はメーターを「貸切」にして黒部宇奈月温泉駅へと向かう。魚津市の資料[pdf]をみると、乗車可能停留所は今回乗車した魚津駅を含めて7か所あるようだが*5、今回利用した車両は魚津駅以外はどこも経由せず、いかにもタクシーっぽいルートで進む。運転士に話を聞くと、普通にタクシーで向かうと4,000円くらいかかるので、利用者はぼちぼちいるとのこと。金額的には地鉄の新魚津~新黒部間の運賃の約2倍*6だが、荷物があったりすることを考えれば、むしろ4分の1の価格でタクシーに乗れるという受け止め方になり、ぼちぼち利用するくらいの需要はあると思う。

おもてなし魚津直行便は1日19往復で、NAVITIMEにも記載されている。高速も経由しないので(自分の興味の範疇という意味で)路線バスに含めてもいいような気もする。要予約という点がちょっと引っかかるだけだ。

黒部宇奈月温泉駅にて
黒部宇奈月温泉駅とおもてなし魚津直行便

約15分で黒部宇奈月温泉駅へ到着する。予定よりも20分早い到着だ。一応新幹線に乗る素振りで駅舎に入るが、乗り継ぎ先は新幹線でなく乗合タクシーだ。タクシーがいなくなるころ合いを見計らって駅を出て周辺を散策する。

新黒部駅にて
新黒部駅側から見た黒部宇奈月温泉駅とトロッコ

バス関連でこの地に来たのは約2年ぶり*7。その時とあまり景色は変わっておらず、トロッコも健在だ。新黒部駅には金太郎温泉の送迎バスが止まっていて、地鉄電車の到着を待って出発していった。4人ほど乗っていただろうか、新幹線側ではなく地鉄側で待っていたのは、利用者側の都合なのかもしれないが、ちょっと気になった。

舌山にて
舌山駅地鉄電車

新黒部駅の一つ隣りの舌山駅まで足を延ばす……と言っても、新黒部駅からの距離はわずか300メートル、足を延ばすほどでもない。舌山駅近くにある愛本コミュニティタクシーの停留所もついでに確認すると*8、バス停的なものではなく、ポスターっぽいものだった*9

舌山にて
地産の黒部全景(赤丸部分が停留所)

地産の黒部にて
地産の黒部停留所

周辺を一回りして黒部宇奈月温泉に戻ると、次に乗る予定の車両はすでに待機していたが、知らんぷりして駅の構内へと入る。さすがに新幹線が到着したタイミングで乗り込みたい。


*1:wikipedia:乗合タクシー乗合タクシーとは、決まった路線・運賃・運行時刻で不特定の乗客を輸送する公共交通のうち、バスより小型の(主にタクシー)車両が利用されているものと定義されている(参考文献が見当たらないのが残念だが)。国土交通省のサイトにあるpdfを見ると、乗合タクシーは、ワゴン型やセダン型のタクシー車両を使った乗合型の公共交通とあり、こちらの方が定義は広いように思う(ただし、資料の作成者は全国ハイヤータクシー連合会のメンバーとなっている)。また、別の国交省の資料(九州運輸局作成のpdf)では、コミュニティバスの定義の一つとして、一般乗合旅客自動車運送事業者に委託して運送を行なう乗合バス(乗合タクシーを含む)とあり、乗合バスの一形態として位置づけている点も見逃せない。

*2:2020年4月25日より運休中ではあった。詳細は「広報入善 2020年12月号 No.761[pdf]」を参照のこと。

*3:ただし、領収証は魚津タクシー協会で発行されていた。

*4:自称。個人的には愛称や略称を自ら指定するくらいなら、その略称をメインにすればいいのにと思う。

*5:記載順に、魚津市役所、グランミラージュ、魚津駅、魚津マンテンホテル駅前、ルートイン魚津、アップルヒル、金太郎温泉。

*6:鉄道運賃は大人一人530円(えこまいかなら480円)だが、5日間有効の往復割引きっぷがあり、それを使うと往復で810円(片道あたり405円)となる。

*7:2018.01.02-07 年末年始ふり~きっぷ28」で、ここに車を置いて魚津・黒部地区の地鉄バスに乗車している。

*8:ついでというより、実はこちらが主目的かも。

*9:愛本コミュニティタクシーは、後日「2021.05.05-07 金沢→長岡11」で利用した。

南から北へ224 お世話になったサイト(2020年10月)

いつものように、今回の行程でお世話になったサイトをまとめておく。

全般

前回に加えて、えきねっとを追加した。こういうサービスに登録するのはあまり好みではないが、半額の誘惑には抗えなかった。おかげで最低所バス停の現地調査は延期となったが、行くなら車かな、なんて考えている。片道7時間半もかかるらしいけど。

今回はバスルートはあまり使わず、各バス会社の情報だけで調べた感じだった。おかげでコミュニティバスの見落としなんかもあったけど、バスルートはイメージをつかむだけのサイト、みたいな認識になりつつある。いや、悪いサイトではないんだけど、バス関係のベースが平成23年度の国土数値情報とのことなもんで*1、現状と合わなくなっている部分も増えてきている。すでに廃止された路線に気づいて臍を噛む、なんてのが現状のバスルートには多くなっているように感じる。ただ、あくまで個人のサイトなので、これ以上の対応は難しいだろうなとも思う。

バス会社

宮城県

宮城県内では1社2自治体、だけど乗車した自治体バスの委託先はすべてミヤコーグループだったので、実質1社みたいなものだった。仙台市交通局のバスにも乗ってみたかったのだが、北の方へ足を延ばすバスが見つからず、これはちょっと残念。日程上は余裕があったので、無理にでも乗っておけば良かったと今更ながら後悔している。

岩手県

岩手県は3社。盛岡までは岩手県交通のみ、盛岡以北では残りの2社で1回ずつと極端な乗車となった。利用したバスや盛岡駅前などでの出入りを見る限り、岩手県交通岩手県北バスも車体が傷んでいる車両が多いように感じたので、どちらの会社も経営状態が少々心配ではある。

ただ、岩手県交通岩手県北バスともに、2022年春までにSuicaベースの「地域連携ICカード」を導入するとのことらしい。嬉しい話題ではあるが、岩手県交通は2020年1月20日*2岩手県北バスは2020年10月20日*3と発表日が異なり、またそれぞれのプレスリリースで他のバス会社のことには触れていない。どうも「岩手県内で1枚」という感じではなさそうに思えるが、どうなんだろうか。穿った見方かもしれないが、バスカードが共通乗車じゃなくなった遺恨がまだ残っているのかもしれない。

JRバス東北で乗った白樺号は、「南から北へ」では初の100キロ越え、乗車時間も2時間42分の路線だった*4。そのせいか運賃もこれまでの最高額となる2,920円*5となり、現時点では「3冠王」となっている。ただ、この先進む北海道ではこれ以上の路線があるに違いない。どんな長距離路線に乗れるのか今から楽しみだ。

青森県

青森県内も3社。加えて、八戸市域は八戸公共交通ポータルサイトの「バスマップはちのへ」にずいぶんとお世話になった。十鉄バス下北交通では路線図がなかったので*6、時刻表からルートをイメージするのが大変だった覚えがある*7

なお、岩手県と同様に、八戸地域においても2022年春までに「地域連携ICカード」の導入が発表されている*8。ただ、こちらについても気になる点があり、発表に十鉄バスは絡んでいない。八戸エリアはバスカード未導入地域でもあるので、今後どうなるのか動向が気になるところだ。

北海道

最後に、とうとう足を踏み入れた北海道について。こちらも3社だが、1つは津軽海峡を渡るのに使用したフェリーの会社となる。函館帝産バスのサイトはシャトルバス関係のトップページにリンクしているのだが、タイトルはこんな感じに設定されているので、サイトの構成をもうちょっと考えてほしいところ。函館バスは今後もお世話になると思われる会社、サイトも今回利用したバス会社の中では一番使いやすかった。

ICカード

どちらも金額的にはあまりメリットがないタイプではあったが、結局購入した。今回は悩むくらいなら買ってしまえ、という気持ちの方が強く、ICAS nimocaみたいな交通系ICカード全国相互利用サービスに含まれているカードであっても、気にせず入手してしまっている。つまり、使わないカードばかりがたまっていくことになるのだが、このへんは「旅の思い出」という言葉で片づけたい。

宿泊先、その他

そういえば、今回は観光らしい観光をしてないし、温泉にも寄っていない。前回とは対照的と言っていいくらいに天候に恵まれたにもかかわらずだ。そんな中、唯一観光っぽいと言えるのはラッキーピエロだろう、ということでリンクを載せておく。

GoToトラベルキャンペーンのおかげで、今回の宿泊費用は大幅に抑えることができた。地域共通クーポンの分も含めれば、計算上は1泊1,000円台になるところもあったりと、ずいぶんメリットを享受できた。さすがに次回出かけるときには終わっているとは思うけど、できればこのまま続いてほしい制度ではある。…まあ、補助の財源は税金ということで、そんなに長く続くはずがないのは承知しているけど。

最後に気づいた点を2つばかり。まず今回の「南から北へ」では徒歩区間がほぼなかった点。若干はあったが、その距離を合算しても1キロに満たなかった。川越から仙台までのルートでは15キロ近く歩いたのが嘘のように思える。また、今回の旅程で乗車したバスはいずれかの区間で他の乗客があったバスであり、だれも乗車しなかったバスには乗らなかった、というのも久しぶりな気がする。記憶が正しければ第3回以来だと思う*9。田舎の方がバスを利用する人がいるのか、または長距離路線が多いのでどこかで利用者がいるということなのか。理由は不明だが、乗客がいるバスに乗る方が断然に良い。北海道でもそんな状態が続いてくれることと願っている。



*1:使用しているデータについて – ゆる~と」より。もちろん、その後も管理者の方でメンテナンスは行っているようだが、変化に追随しきれなかったとのこと。バス路線やバス停は変化が多いので仕方のない話だとは思う。

*2:岩手県交通の路線バスにおける「地域連携ICカード」を利用したIC乗車券サービスの提供に合意しました[pdf]」。内容は岩手県北バスと比べてシンプル。対象路線は岩手県交通が運行する一部路線バスとのこと。

*3:岩手県北自動車における「地域連携 IC カード」を利用したIC 乗車サービスの提供について[pdf]」。後述する八戸地域のICカード導入とは別のプレスリリースとなっているので、岩手県北自動車でも岩手県北バスと南部バスでは別カード、なんてこともあり得るんじゃないかと思っている。というのも、対象路線は岩手県北自動車が運行する岩手県内の全路線を予定とあり、「岩手県内の」と断っているところに「南部バスは別」という意味が隠されているように思える。

*4:それまでは、一番最初に乗った三州自動車のバスが最大で、それぞれ73.3km、2:11だった。

*5:運賃では山梨交通の広河原~甲府駅の1,950円(利用者協力金を入れると2,150円)が最高額だった。

*6:ちなみに、下北交通は今どき珍しく自社ドメインですらない。サイトは「下北半島ネットワーク機構」というホームページの製作・販売をする会社のドメインにぶら下がっている。

*7:今回使ったルートでは悩むような箇所はなかったが、六ヶ所村経由とかを検討していたときに苦労した。

*8:八戸圏域における「地域連携 IC カード」を利用したIC 乗車サービスの提供について[pdf]」(南部バス)。発行日付は2020年10月21日(岩手県北バスの岩手県内導入発表より1日遅れ)、導入予定路線は八戸市交通部及び岩手県北自動車南部支社が運行する八戸圏域全ての路線とある。

*9:第1回もそうだった気がする。いっぽう、第4回以降ではどこかの路線で「乗車から下車まで乗客は自分だけ」というのがあった。

南から北へ223 2020年10月のまとめ

root

2020.10.26[Mon]

移動距離:バス114.6km徒歩なし

2020.10.27[Tue]

移動距離:バス134.4km徒歩0.3km

2020.10.28[Wed]

  • 盛岡駅06:30→久慈駅09:12/JRバス東北 白樺号、¥2,920、110km
  • 久慈駅13:00→陸中大野13:50/岩手県北バス 大野線、¥880、26.8km
  • 陸中大野…大野/徒歩、0.0km
  • 大野14:34→三日町15:37/南部バス 大野線、¥1,380、32.2km
  • 三日町…八戸十一日町/徒歩、0.5km

移動距離:バス169.0km徒歩0.5km

2020.10.29[Thu]

移動距離:バス187.7km徒歩なし

2020.10.30[Fri]

移動距離:バス35.3km徒歩なし

累計

南から北へ」と「四国逆回り」の累計
旅程 時期 起終点 日数 路線バス 徒歩距離
本数 走行距離
南から北へ 第1回 2017年6月 ホテル佐多岬→延岡BC*1 2日 9本 297.4km 7.8km
南から北へ 第2回 2017年10月 延岡BC→下関駅 3日 18本 377.1km 6.2km
南から北へ 第3回 2018年4~5月 下関駅上郡駅 4日 34本 614.0km 6.6km
南から北へ 第4回 2018年6月 上郡駅近鉄奈良駅 2日 18本 218.9km 1.3km
南から北へ 第5回 2018年10月 近鉄奈良駅→地下鉄徳重 3日 26本 288.9km 4.5km
四国逆回り(特別編) 2019年4~5月 倉敷駅前→坂出駅 7日 42本 1,082.6km 9.6km
南から北へ 第6回 2019年8月 地下鉄徳重→伊那大島駅 3日 10本 168.8km 0.6km
南から北へ 第7回 2019年9月 JR伊那大島駅川越駅 3日 24本 330.6km 7.4km
南から北へ 第8回 2020年7月 川越駅→仙台駅前 5日 30本 580.6km 14.9km
南から北へ 第9回 2020年10月 仙台駅前→新函館北斗駅 5日 23本 641.0km 0.8km
累計 37日 234本 4,599.9km 59.7km


南から北へ+四国逆回り 旅程一覧(~2020.10)《別ウインドウ表示》

2020.10.26[Mon]

2020.10.27[Tue]

2020.10.28[Wed]

2020.10.29[Thu]

2020.10.30[Fri]

過去のまとめ

第1回 (2017.06)
第2回 (2017.10)
第3回 (2018.04 - 05)
第4回 (2018.06)
第5回 (2018.10)
特別編 (2019.04 - 05)
第6回 (2019.08)
第7回 (2019.09)
第8回 (2020.07)

築館バス停
築館バス停


*1:バスセンターの略。