2017.10.26-29 南から北へ17

次のバスは約20分後だ。少しひんやりして、そして澄んでいる高千穂の朝の空気は非常に気持ちが良い。バスターミナルを囲うように土産物屋や喫茶店があったみたいだが、今では1軒しか営業していないようだ。すでに空き家となっている1軒を覗くと、電卓についているようなソーラーパネルからのエネルギーで首を振る人形が朝日を受けて動いていた。店舗内を片付けた際に忘れられたようで、パッケージも茶色くなっていたが、その機構に問題はないらしく、こちらに対してしきりに媚を売っているかのようだった。あまりにもいたたまれなくなってバスターミナルの方へと戻るが、愛想の良い捨て猫を拾わないまま去るような気分になってしまう。

2017.10.27[Fri]
高千穂バスセンター08:18→五ヶ瀬町立病院08:45
宮崎交通[75]、¥690、15.3km

高千穂バスセンターでの五ヶ瀬町立病院行
五ヶ瀬町立病院行

バスは高千穂市街を抜け、急なヘアピンを2つほど下って、高千穂大橋で五ヶ瀬川を越える。「大橋」と言っても「高千穂三段橋」で言うと2番目の橋で、はるか上空には最新の橋「神都高千穂大橋」が横たわっていた。どうも橋が3つかかるというのは珍しいらしく、高千穂町観光協会一つの渓谷に3本のアーチ橋が架かるのは全国でも初めてなんてことを書いていらっしゃる。「一つの渓谷に3本のアーチ橋」という条件縛りはけっこうきつそうなので、たぶんそうなんだろう。「一つの渓谷」の定義なんていくらでも匙加減できそうだし。


高千穂神社前近くのヘアピンカーブ

中の原バス停以降は人家の少ない谷沿いの道で、バス停の間隔も広くなって、五ヶ瀬町との境を目指して上り詰めていく。乗客はのべ5人、でも高千穂町から五ヶ瀬町へ移動したのは3人だけだ。五ヶ瀬町に入ってからは人家も増えてくるが、それほど多くならないまま、あっけなく五ヶ瀬町立病院に着いてしまう。病院での下車は3任、私たちは病院には用がないので、役場方面へと歩いていく。